爺さんの刀

790 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/08/14(日) 13:24:45.03 ID:z4pPJqumi
じいさんの話 

この話が大好きで小さい頃何度もねだりました 


戦後10年は立った頃、爺さんが30手前の頃、爺さんの親父が酒を持って爺さんの家にきたそうです 
どうした珍しいなと言うと、[親父はふと思い出して戦中に鉄を取られるので、爺さんの刀を山に埋めたのを思い出してなと言う 
なるほどそんな事もあった 
それからそれからと催促したら、今日山に刀を掘り返しに行った 

不思議な事があったと言う 

爺さんの爺さんの刀は3こあったらしいのですが、 
戦中に鉄を取られるので、桶屋に頼んで作らせた木箱に油を並々と注いで、麻に包んだ刀を山裾に埋めた 

親父が思い出して掘り起こすと、木箱はボロボロになり、麻も土に帰ってた 刀も錆びてボロボロに 
まあ10年は立ったなあ、しょうがない 
と思ったら、親父の親父に聞いた山神様の刀だけは埋めた日のままだったらしいです 

書きにくいので爺さんの目線で 

掘りかえしたじい様の刀を見て、これは人の持つ物でないとおもい親父は油まみれの刀を持って山に向かう 
山に入ると白い山犬が座ってて、ああ小さい頃に見た親父の犬だと思ったら、 
犬が歩き出したので、付いて歩いた 
795 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/08/14(日) 14:14:34.66 ID:z4pPJqumi
犬の後を付いて行くと沢に出た 
そこにある祠を見て、ああじい様の言ってたのはこれかと思い 
刀を収めますとお辞儀して刀を祠の前において祠を掃除して犬に向かって帰りたいと言ったらしい 
すると犬はスっと立ち上がり、歩き出したので、親父は付いて帰ってきたと 

ここまで聞いて、私の爺さんは霧が晴れる様に昔の頃を思い出した 

そう言えばじいちゃんは刀を常に手入れしてたのに、山神様の刀は手入れしなかった。 
爺ちゃんが子供の頃、山裾には年寄りしかいなくて、同い年などいなかったはずなのに、いつも山行くと遊んでくれた子供がいたらしい 
その子はいつも身の丈もある山刀をしっかりと抱き締め、大きな山犬を連れてた 
じい様より頭一個大きな子はとてもとても物知りで、山の事や食べられる木のみ山菜 
木の実を使ったコマやらを教えてくれた 

じい様はいつもいつも山にその子に会いに行ってたらしいんだけど、お袋や婆様はよく思って無く、じい様が山へ行こうとするたびに怒られてた 
それをたしなめて行かせてくれたのがじい様だった。その子の事と大きな犬の話はじい様しか聞く耳を持たず理解もしてくれなかった 
じい様の山小屋や祠のある沢などとてもとても456歳の子供がいける訳ないと相手にしてもらえなかった 
ただじい様は小屋の話、沢や子供や犬の話を話す度にうんうんと聞いてくれたそうだ

ある日、じい様が子供と遊んでると、明日、じい様の名前に弁当を作ってもらえ 
3人分だぞって言われた 
じい様はじい様にこの事を伝えると、ホウカホウかと頭を撫でてくれた 
翌朝目覚めると、弁当と水筒が3人分用意してあり、じい様はじい様に抱きついてお礼を言い 
弁当を風呂敷に包んで山に向った 
山の入口に入ると、いつもの様に山刀を抱き締めた子供と大きな犬が迎えてくれた 
じい様が誇らしげに弁当を自慢すると、子供はじい様のじい様の飯は久しぶりとニッコリ笑った 
そして子供はくるりと後ろを向くと、じい様に後ろに乗れと促す 
じい様が自分で歩くと言うと、童の足だと無理じゃない。のれと 

で、じい様がしぶしぶ子供の背に乗ると子供はすくっと立ち上がり 
大きな犬にむけてお主は留守番じゃ見張っておれと言った 
じい様は犬の分を入れて3人分だと思った弁当を不思議に思い、子供に聞くとそれには答えずにしっかりと掴まれ 
喋ると舌を噛むぞとだけいい走り出した 
走り出した子供の背中にしがみついて居ると 
子供が大きな山犬の様になり、じい様は犬の背中にしがみついてた 
あれれと思っていると、子供の声でしっかりと捕まっとけ 
走るぞ 

じい様が必死になってしがみついてる 
犬の用な物は一飛びで山を登り一飛びで山を下ったらしい 
ただそれはとても優しくじい様に気を使ってるようだった 

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