山中で一泊する事も多かった
0 :206:2011/03/27(日) 16:15:31.70 ID:PS6DxPPh0
川苔山の北東に「獅子口小屋跡地」があるんだが、氷川から本仁田山を経由して山頂に着いたのが夕方近くだった。
大休場尾根の急登にバテまくり、それでも目的の川苔山頂を目指したんだよ。
さてこれから鳩ノ巣に下ろうかと思ったが、日が暮れてからの山道は危険だと判断して大丹波の林道への道に決めた。
小屋跡へ下れば長いながらも林道歩きだから、少しは安全だろうとね。
行き付けの中茶屋キャンプ場で、布団付きでバンガローでも借り一夜を過ごすのも良いかななんて考えながら。
当時は時間の余裕が一杯あったもんで、山中で一泊する事も多かった。
そんなこんなで食料も充分だったし、足元に気を付けること暫しして小屋跡に辿り着いた。
ゴボゴボと流れ出る湧き水を飲んで一服してると、林の向こうから声がしてるのに気が付いた。
声の方向を疑視するとパッと一つ灯りが点いている。こんな時間に自分以外の人間が居ることに少し安堵したが、反面何か変だなとも思ったよ。
同時に自分は声と灯りの方向に声を掛けていた。返事がないのに加えフラフラ動くだけの灯り。ヘッドランプか何かだろう、火の様に揺れずにいたから。
声は明らかに男だったが自分に呼び掛けてるのは分かったよ。
何だか急に怖くなり足早に大丹波へ急ぎ下った。暫くするまで後方で声はしてたが、振り向くと灯りもユラユラと付かず離れずの距離で付いてくる。
バンガローに着くことだけを頭に入れて暗い林道を下った。
完全に日没後の林道は真っ暗で、手にしたライトが照らす足元を確認して
目的のキャンプ場を目指したんだよ。
時々後ろを振り返ると、例の灯りだけがユラユラと付いて来たんだ。
疲労が溜まり疲れてたので目指す中茶屋キャンプ場を諦め、最初にあった
キャンプ場に泊まることにしたよ。
声を掛けて漸く現れた管理人に宿泊手続きをしてバンガローに入り、食事
の準備に取り掛かった頃は外は雨が降り出した様で雨音が響いていた。
ラジオを付けたが山中で電波が届かない。
簡単な食事を済ませて横になるしかやることもなく寝具に入った。
雨は降りが強くなり雨音だけしか耳に入らず・・・。
とっ、その時。ガラス窓をサーッと一条の灯りが照らす気配を感じた。
いやハッキリと見たんだよ。窓は3面にあってどれにも順番に灯りが
当たった瞬間は、一瞬内部が明るくなった。
管理人の巡回するライトかと思うが何かおかしい。このバンガローの
周囲だけを歩いてるようだ。
ライトを持って外に出たけど、雨粒だけを照らす先には人影は勿論、
灯りも見えない。
どうしても気になったので傘を持ち管理人の居る所へ確認しに向かった。
部屋の灯りも消えて休んでるのか、やっと出てきた管理人は寝ぼけ眼。
今し方の事を聞いたが予想通りの返事・・・自分じゃないと。
何だか釈然としないが仕方なく戻り寝たが、まだ現象が続いた。
今度は男の声が聞こえだした。
しかし何を言ってるのかは雨音に邪魔されて聞こえない。
結局明け方まで寝られずに朝を迎え、早々に駅に続く林道を足早に下った。
結局、雨はその日の夕方まで降り続いたそうだ。
その後一度も同じルートを歩いては居ないがやはり気になる。
実は川苔小屋にこの後ビバークした際にも同様な事が起きてるんだが・・・。
次にカキコします。