城壁跡

642:08/13(水) 00:37 Vq7vlcfw0 [sage] 
高校卒業して大学入学までの暇な期間、俺はずっと山登りしてたんだ 
山登りと言ってもそこらへんにある小さな山なんだけど 
その山ってのが低いけど結構広くて一か月くらい回ったけど見れてないところも多い 
それで図書館で調べてみたら昔城があったらしくて城壁跡があるらしい 
これは見ないとなと思い立って朝の6時から山に向かった 
目的の城壁跡は山の中心部あたりでぽかっと平坦になってる所にあるとかいてある 
登山道から近かったので特に何も考えず鉈を腰に下げて藪に入った 
しばらく木をかき分けながら進むと周りから音がするのに気づいた 
「・・・・?」 
歩みを止めて耳を澄ますとガサガサと落ち葉を踏みしめる音が聞こえる 
音自体は遠くのほうから聞こえてきた 
「獣か電力会社の人かな?」 
以前山で電柱を点検に来た職員と顔を合わせたことがあるので特に気に留めず進む 
やたら倒木の多い藪を抜けると書いてあった通りひらけた場所に出た 
山の一部を円柱状にくり抜いたような感じだ 
ぱっと見まわしてみるが城壁らしきものは無い 
「・・・・ないじゃん、城壁」 
溜息つきつつ山を見上げると急斜面な場所にゴツゴツした岩みたいなのが並んでいる 
「あれか?」 
20メートルくらい上なのでよくわからない(視力0.1) 
しかたないので登ってみる 
65度くらいの崖(ほとんど泥)をヒィヒィ言いながら登っていると青い鳥が飛んできた 
そいつは俺がつかもうとした木の枝に止まるとこっちを見た 
俺がその木の下まで上がるとそいつはもう一つ上の木に飛んでいって同じようにこっちを見る 
そんなことを繰り返しながらようやく崖を登り切った 
登り切ったと同時に鳥はどっかに飛んで行った 
崖の上に見えたのは案の定城壁跡であったようで岩にしては不自然に四角く削られていた 
といっても形が残ってるのは僅かだけど 
やっと目的地についたところで一服ついていたらまた音が聞こえた 
崖の上のほうからガサガサと落ち葉を踏む音が聞こえる 

「またか・・・」 
さっきはすぐ聞こえなくなったが今度は断続的に聞こえてくる 
「なんなんだよ・・・」 
気味が悪くなってきたので音の主を確かめようと立ち上がった 
するとまた青い鳥が飛んできた(もしかしたらずっといたのかもしれない) 
崖の下、俺が登ってきたほうの木にとまってこっちを見ている 
「・・・なんだよ」 
思わずぼやくが返事など返ってこない 
その変わりもう一つ下の木に飛び移った 
こうなってくると音の正体も知りたいが鳥の真意も知りたくなるのが人ってもので 
気味の悪い音より鳥のほうがましか、っとか思って鳥を追いかけ始めた 
下りも登った時と一緒で、俺が下りると鳥も一つ下の木に飛んだ 
登山道に出るともう12時をすぎていて驚いた 
山頂に行くだけなら1時間とかからない山だ、知らず知らずに奥まで入ってしまったんだろうか 
頭でワカランゾウを躍らせながら登山道を歩いていると鳥も間隔をあけてついてくる 
「だーから、何なんだよお前は」 
顔を向けると鳥は飛び立って、しばらくすると近くの枝にとまる 
そんなことを繰り返しつつ山の入口まで来た 
舗装された道まで出ると鳥は追いかけて来なくなった 
「・・・まーた来るさ」 
なんとなく手を上げて山を後にした 


まぁそれだけの話なんですが 
文章下手ですみません

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