水遊び

60:お耳拝借◆PfeBATiceI 06/04(月) 18:22 EQ+cGMXG0 
知り合いから聞いた話 


その日は朝から雨が降っており、あいにくの空模様だったのですが、以前より、紅葉を見に行く予定を立てていた私達夫婦は、他にする事もなく、とりあえず、行ってから考えようと、安易な気持ちで出掛ける事にしたのです。 

 紅葉で有名な観光地であっても、雨のせいか、人も疎らで、ひっそりとしていましたが、幾分か雨も小降りになっており、私達は散歩がてら、傘をさして歩く事にしました。  
 私達は紅葉を見ながら、奥へ奥へと進んでいき、木ばかり見ていたせいか、気が付くと、すっかり、道に迷って、どこをどう帰っていいのか、分からず、途方に暮れていました。 
 道を尋ねたくても、周りには、人が一人もいなく、私達は勘を頼りに戻るのですが、歩けば歩く程、深みにはまっていくような気がしてなりません。 
 私は妻に心配をかけたくなく、平静を装っていましたが、内心、不安で仕方なかったのです。

そんな時、子供達のはしゃぎ声が聞こえてきて、人がいる事にほっとして、声の出所を探したのですが、どこにも、子供らしい人陰はないのです。 
 鳥の声と聞き間違ったのか、半ば、諦めて、歩いていると、木の間から見える下の方の川で、子供達は水遊びをしていました。 子供達を見つけると私達は枝に邪魔されながらも、 
 細い道を下って、なんとか、川に降りていったのですが、今まで、子供が遊んでいたはずなのに、どこにもいないのです。 私は諦めきれず、川伝いを歩いて行ったのですが、子供達の姿は見つからず、子供達が遊んでいた痕跡すら、見つける事ができませんでした。 
 私が困惑していると、妻が顔を強ばらせ、「ねぇ、あなた。 不思議に思わない?  今、11月よね? 今時分、いくらなんでも、あんな格好で川で遊ばないよ。」と言うのです。 
 そういえば、11月半ばで雨も降っており、肌寒い中を海水パンツだけで、川で水遊びなんて、冷静になって、考えてみると、確かに、異常な話です。 
 私達は怖くなり、山道に戻ろうとした瞬間、後ろから、声が聞こえてきました・・・ 
 「一緒に遊ぼうよ!」。 
 振り返ると子供が4人、青白い顔でこちらを見ています。 明らかに生気のない子供達なのです。 
 私は怖くなり妻の手を取り、その場から逃げ、どこをどう走ったのか元の駐車場に戻っていました。 
 辺りはもう、夕暮れで雨はすっかり、上がっており、車に乗って、二人とも、ほっと、一安心していました。 私は無言のまま、エンジンを掛けようとしましたが、掛かりません。 
 ふと、ルームミラーを見ると先程の子供達が後部座席に座っているのです。 
 私は反射的に後ろを振り向きました、すると、子供達は笑みを浮かべ、 
 「ねぇ、一緒に遊ぼうよ!!」と、こちらをじっと、見つめていたのです・・・

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