山岳信仰

351 :1/2 :sage :2007/03/05(月) 11:54:16 (p)ID:A3Fpe+j50(4) 
長文失礼いたします。 
自分が体験した話ではなくて、実家にあった郷土史から見つけた話です。 

私の実家の近くにある山は、今はすっかり廃れてしまいましたが江戸時代あたりにはマイナーな山岳信仰の中心地でした。 
その山岳信仰の縁起がちょっと面白かったので書かせて頂きます。 

平安時代、その山(以下F岳とします)に牛に似た妖怪が住んでいて、夜な夜な怪しい光を発しながらふもとの村々の田畑を荒らしていた。 
困った里人たちはお上に助けを請い、その結果京都から源頼政(あのヌエ退治で有名な侍)が使わされた。 

長期にわたる戦いの結果、頼政はF岳に住む妖怪を倒すことができた。 
しかし、妖怪は死してなお妖気を放ち、その妖気はF岳に留まっていた。 
そこで頼政はF岳を取り囲むような六芒星を描き、その頂点に当たる場所に6つの神社を建て、F岳の妖気を封印した。 

というものです。 
ただ、本によって伝承の細かい点は食い違っており、退治した侍が頼政じゃなかったり、件の山がF岳の隣の山だったり、退治されたのは牛に似た妖怪ではなくヌエだったりしてますが。 
あと、退治した方法も「吉備津彦vs温羅」の話にそっくりだったりします。 
(何分昔の話なので細部が変化したり、他の伝承が混ざったりしても不思議ではないですが。)
ただ、6つの神社が山の妖気を封じるために平安時代に建てられたことはどの伝承でも共通しています。 
(この部分が伝承の中核、というか原型で、他の部分は後世の創作かも…、とも思います。)

江戸時代あたりにはこの6つの神社を巡る山岳信仰が盛んでした。 
また、ふもとの村ではこの出来事から牛を忌み嫌い、明治維新のころまで決して牛を飼いませんでした。 
さらに、頼政を妖怪の元まで導いたのがウナギであったため、ふもとの村では今でもウナギを神の御使いとして食べません。 

六芒星で妖気を封印する件が私のヲタ心の琴線に触れたので書かせ頂きました。

ちなみに、6つの神社のうち1つが時の流れに埋もれて消滅してしまい、現在は封印が破れてしまっています。

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