未開通のトンネル

444 名前:めかぶ 投稿日:03/08/17 16:43
この間、彼女と旅行の帰り道、閃き頼りに道を行く俺は 
相変わらず地図なんか見ない。カーナビももちろんない。 
んで案の定いつも通り道に迷う。よこで寝ている彼女が 
目覚めたら怒られると恐怖に怯えた俺は山道を自分の 
閃きを信じ続け爆走した。 

日が暮れてあたりは真っ暗な状態。以前道がわからない。 
あせった俺の前にトンネルが真っ暗な口を広げていた。 

少々そのトンネルに入るのは気がひけたが一本道なので 
入るしかない。気にせず行こうと決めた瞬間、急停車。 

今まで標識がなかったのか、気づかなかったのか、 
そのトンネルは未開通のトンネルだった。 

入り口の看板で初めてそのことに気づいた俺の 
急停車で彼女も目覚める。「どうしたの??」 
「いやさ~このトンネルが」と言いかけた時、 
真っ暗なトンネルを照らしていたライトの中から 
人が近づいてくるのが見えた。 


真っ暗なトンネルの中を人が歩いてくる。 

近づいてくる足を見ながらおれは、ふと思った。 

その時の時間が夜の11時くらい。 

未開通のトンネルと言うことは通行人ではない。 
工事関係者がこんな遅くまでいるわけないし、 
工事関係者だとしても、歩いてくる人は明かりを 
もっていない。イメージではヘルメットにライトとかつけてそうだが。

第一最近工事しているような感じのトンネルではなかった。
長い間未開通で放置されている感じだったのだ。 

なんか嫌な気がした俺は車をバックさせてその場を 
離れようとしたその時、近づいてくる2本の足が走りだしたのだ。 

未だに足しか見えないその人影、普段はうるさい俺の真顔で彼女もただならぬ雰囲気を感じたのか
無言のまま怯えているのがわかった。

前の話へ

次の話へ