金魚の呪い

425: 本当にあった怖い名無し:2010/01/03(日) 19:05:32 ID:Ngb3d9hB0
初めまして、初投稿です。
洒落にならない程怖いかどうか分からないので
ほんのりと怖い話スレに投稿したほうがいいのかもしれないですけど…
小学生の時に体験した、金魚の話です。


何年生の時だったかは明確には忘れてしまいましたが、金魚を飼っていました。
金魚すくいでよく見かける小赤が5匹くらいと、琉金が1匹と、コメットが1匹です。
それから小さな銀色の鯉もいました。

私はその金魚たちの中でも、琉金を特に気に入っていました。
丸い体についた大きな尾びれや胸びれを振って泳ぐ可憐な姿に、
子供ながらにうっとり見とれていたのを憶えています。
その1番のお気に入りの琉金には、シェリーという名前をつけていました。

金魚たちは皆お店で買ってきたもので、知識の無い私は小赤も鯉もコメットも、そしてシェリーも
同じ水槽に入れていました。
本当は琉金などヒレの長い金魚は、動きが鈍くいじめられてしまう可能性があり、
ほかの金魚と一緒の水槽で飼ってはいけないのですが…
同じ水槽のままで3年くらい飼っていたかと思います。

それまでは金魚同士で喧嘩もなく、平和に暮らしていました。
しかしある時、シェリーが病気にかかりました。
長く伸びた美しいヒレをもった金魚や熱帯魚によく発症する、尾ぐされ病です。
症状はその名の通り、ヒレの先端が溶けてバラバラになってしまうのです。
治療すれば治る病気なのですが、気が付いた時には既に遅く、
シェリーの美しかったヒレや尾は仲間達に食いちぎられてもう、残ってはいませんでした。

あの時もっと早く気付いていれば…今も後悔は消えません。
当時私に出来たのは、ヒレを失い泳ぐことが出来ず、
水槽の底でじっとしているシェリーを他の金魚から隔離することだけでした。


別の水槽に移されたシェリーはいくらか回復しました。
無くなったヒレは元には戻りませんでしたが、残ったわずかなヒレで泳ぐ気力は出てきたようでした。
シェリーのために沈むタイプの餌を買い、私が様子を見に行くたびに
小さな小さなヒレで必死におねだりをする様子は、痛々しくもとても愛しく思われました。

狭い別水槽にいつまでも入れておくのは可哀そうに思い、元の水槽内を金網で仕切ってシェリーを戻しました。
異変が起こったのはその後すぐです。

鯉が死にました。鯉は1番丈夫で元気でした。
鯉ヘルペスか?なんて思いましたが、その数日後、コメットが死にました。
数日後小赤が1匹死に、数日置きに1匹ずつ、あれほど元気だった金魚が死んでいきました。
金魚って普通、水面にひっくり返って浮かんで死んでいますよね。
違うんです。底に沈んで、外傷も無く、目に濁りもなく、まるで眠るように死んでいったのです。

最後に1匹残ったのはシェリーでした。
恐らく1番弱く抵抗力の無かったシェリーが1匹だけ残りました。
もしも水槽に病気が広がっていたなら、最も弱っていたシェリーが真っ先に死ぬはずです。
尾ぐされ病でシェリーになんらかの免疫がついていたとしても、なぜ1番丈夫だった鯉が最初に死んだのでしょう?
死んだ金魚たちは皆、死の前日までとても元気でした。傷もおかしな行動もありませんでした。

あれは自分を虐めた仲間達に対する、シェリーの復讐だったのでしょうか。
シェリーはその後数ヶ月生きて、躑躅が咲く頃に旅立っていきました。
精一杯に生きて、そして眠るように死んだシェリーの亡骸は、盛りの躑躅の花といっしょに埋葬しました。
呪いや崇りという言い方はあまりしたくないのですが、そういった物を感じました。
これが私の体験した話です。


オチが無い上に分かりづらい文章で申し訳ありません…
グダグダ長文失礼しました。 

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