腕時計

479: 本当にあった怖い名無し:2010/03/17(水) 17:25:23 ID:WDeJe
流れを読まずに投入
僕が小学校高学年のころの話。

僕と友達のKは、よく下校途中にある空地で遊んでいた。
その日も、Kと一緒に空き地に行ったんだ。

ドラえもんに出てくる空き地みたいで、
奥には土管が2本ほど置いてある。
いつものように、土管の中で拾ってきたエロ本でも見ようと入っていくと、何かが落ちているのに気がついた。

腕時計だった。
子供用で、まだまだ新しく、その頃やってた「ナイトライダー」の腕時計みたいだった。

僕は一目で欲しくなってしまったが、失くした子も困っているだろうから交番に届けようと言った。

しかし、Kは「第一発見者のものだ」と言い張って、早速腕にはめて、届ける気は無さそうだった。
僕もまあ、そんなに正義感が強いわけでもないので、その腕時計のことは忘れて、
その日は日暮れまでKと遊んで、家に帰ったんだ。


次の日、Kは包帯を巻いて登校してきた。
休み時間に理由を聞いてみると、昨日、家に帰ってからも腕時計をつけていたが、
しばらくするとジワジワと痛みだしたらしい。

包帯を外して手首を見せてもらうと、ちょうど腕時計の形にひどく爛れていた。
ジュクジュクに膿んで、皮が剥がれている。
下から血管らしき物が見えているのが気持ち悪かった。

Kは早退して病院へいくとのことで、下校のついでに僕が交番へ腕時計を届けに行った。

交番へ行くと、お巡りさんと、もう一人男の人がいたんだ。

妙に気味の悪い中年で、背は低く、髪は長くてボサボサ。
牛乳瓶の底のようなメガネの奥から、濁った魚のような目が僕をぎょろりと見た。

僕は寒気を感じて、早く用事を済まそうと、お巡りさんに腕時計が落ちていたと話した。
Kのことは流石に言わなかったけど。

すると、お巡りさんは手をぽんっと叩くと、ちょうど良かった!と頷いた。

どうやら、気味悪い男が、腕時計の持ち主らしい。
落とし物の届出に来たようだ。
男は腕時計を僕が渡そうとする時にじろじろと僕の腕を見て、

「なんだ、はめてみなかったんだね」 

前の話へ

次の話へ