一卵性の双子
860 :本当にあった怖い名無し:2012/08/03(金) 13:13:31.22 ID:YnKjxl/lO
A(兄)とB(弟)は一卵性の双子。
唯一の違いはBの耳の裏にホクロがあるくらい…
AとBはともに漫画家を目指していた。
Aはわずか数ヶ月で受賞デビュー、トントン拍子で売れっ子漫画家になっていった。
一方Bの方は受賞すら出来ずに万年志望者のまま…
A「絵柄は全く見分けがつかないのに、なんでこうも違うんだろうな?」
B「兄さんの漫画は派手で勢いがあるからね。万人受けするタイプだよ」
B「それに比べて僕の漫画は暗くてバッドエンドばかりだから…」
B「それに……兄さんはパクるのも上手いし…」
A「パクりが上手いか…」
A「さすが実の弟だな。売れっ子漫画家にも気兼ねがない。ハハハ」
A「なぁなぁ、もしも俺が死んだら、お前どうする?」
B「え?」
A「俺に成り変わって売れっ子漫画家に…」
B「バカバカしい…いくら絵柄が同じでも僕に兄さんの漫画が描けるわけないだろ」
A「真面目だな、Bは」
A「でもよ、ここだけの話、成り変わってもいいぜ。面白そうじゃん」
B「いいかげんにしてくれよ!」
A「わかったわかった。謝るよ」
数日後、双子の一人が心臓発作で急死した。
駆けつけた救急隊は双子と言うことで少々驚き、
慎重に第一発見者の双子の片割れに尋ねた。
「この方は…?」
双子の片割れは少し間を置いて答えた。
「兄のAです」
その後Aの漫画は打ち切られ、多くの読者は悲しんだ。
暫くしてBがAの元編集部を訪れて、こう言った。
B「僕が兄の遺志を受け継ぎます」
B「これ新作なんですが兄を思って描きました。一読お願い出来ますか?」
編集部は真摯に対処しつつも内心では売れない弟を早く厄介払いしたかった。
…のはずだったのだが、この漫画が思いのほか面白い。
相変わらず暗くてバッドエンドのストーリーなのだが、何故か面白かった。
Bは売れっ子漫画家Aの遺志を受け継ぐ弟として話題を呼び、瞬く間に売れた。
編集部もBを絶賛。まるでAが乗り移ったかような快進撃と持ち上げた。
B「そんなに誉めないで下さい。僕は兄の作った道をただ歩いてるだけですから」
B「それにしても駆け上がるのはやっぱり楽しいですね。ワクワクしますよ」
そう言うとBは照れくさそうに耳の裏をかいた。
…何かが落ちた気がした…
【END】

