遺体の一部が見つかった

142 :本当にあった怖い名無し:2012/07/09(月) 09:57:16.02 ID:CjD9sdvH0
ある山中で、バラバラに解体された遺体の一部が見つかったのは、
私が旅行を終えて一週間ほど経過した後のことだった。
旅行で、とある県境の山道を自家用車で走行しているときに、
ふと目に入った看板に心を動かされた。
未舗装のあまり手入れされていない広場には、
既に先客の物と思われるワゴン車が停められていた。
後部座席の窓の部分にはブルーシートのような物が張られ、
車内の様子は見えなかったが、運転席と助手席に人が乗っている様子は見えなかった。
商業的な運搬車のような車が、このような場所に停まっていることに多少の違和感を感じつつ、
その車の隣に自分の車を停めてから、一切の道具を車の中に残し、
身軽な格好で獣道よりは多少マシな山道を登り始めた。
途中崩れかけた行き先案内板が設置されていたが、あまり手入れされている様子もなく、
観光客もほとんど訪れていないことが推測できた。
片側は斜面になっており、雑多な草木が鬱蒼と生い茂っている。
反対側は壁のような切り立った崖になっており、
道幅は1~2メートル程度の狭さで曲がりくねっていた。
大抵の道は次に進むべき方向が見えているものの、時折急なカーブがあり、
直前まで先が見通せない部分があった。
道には小枝が落ちており、時々パキッと小さな音を鳴り響かせる事があった。
次のカーブも見通しが悪く、先がどのようになっているのかわからない。

そのカーブは足元が悪いので、足を取られないように慎重に進むことにした。
ようやく次の道が見通せる場所に来て、最初に目に飛び込んできたのは、
黒いレインコートのような物を着て、背を向けてしゃがむ男の人の姿だった。
自分の居る場所からは、10~15メートルは離れているだろうか?
普段なら気にせずに近寄って軽く挨拶するのだが、細い道の真ん中にしゃがんで、
なにやら必死に作業をしているように見えた。
しばらくその場で立ち尽くし、静かに様子を見守る。
もし彼が振り向いたら、ぼんやり立ち尽くす私の困った表情までハッキリ見えたことだろう。
しかし何か地面に置かれた物を一心不乱に叩き切っているようだった。
私はこんな山奥の細い道の途中でやるような作業には到底思えず、
違和感が警戒感に変わり始めるのを感じていた。
今振り向かれたらすべてが終わりそうな予感がし、足が震え始めた。
ゆっくりと今来た道を後ずさりし、転ばないように気を付けながら、
それでもなお男から目が離せなかった。
私の体がほぼカーブに隠れかけたとき、不意に男が立ち上がった。
手には鉈(なた)のようなものが握られていた。
そしてその足元には、赤く染まった肉のようなものと、
肌色っぽいマネキンのようなものがいくつか転がっていた。
何かの動物の肉塊であることは間違いなさそうだった。
なぜかその物体を目撃した瞬間、背筋にゾッと冷たいものが走るのを感じた。
足が竦みそうになるのを感じながら、慌ててカーブの後ろまで身を隠した。

それと同時に男の様子からも目が離せなかった。
じっと俯いて、何度か体重移動を行い、足の痛みを解消するかのような動きだった。
そして再びしゃがみこむ直前に、いきなりこちらを振り向くような素振りが見えた。
慌てて顔を引っ込めたが、万が一にも相手に気が付かれたら、私の足では逃げきれないと思った。
もう一度覗いてみたい衝動を感じつつ、同時に本能が拒否するのもハッキリと感じられたので、
息を殺しながら、小枝を踏まないよう気を付けて、ゆっくり今来た道を戻ることにした。
念のため次のカーブの直前で振り向いて、男が追いかけて来ないことを確認すると、
その後は急ぎ足で、下山しはじめた。
安全な距離まで離れると夢中で駆け降り、車を停車した広場に戻ると、
私が来たときには停められていたはずの車が、跡形もなく消えていた。
山道で出会った男の車ではなかったのだ。
私が歩いた道は一本道で、途中分岐点はなかった。
男と出会った場所よりも先に分岐点があったのかもしれない。
いずれにしても、その一週間後、あの山中のどこかで、
切断された遺体の一部が見つかったらしい。
それが、あの男が解体していたものなのかどうかはわからない。
そして停められていた車のことが気がかりで、結局何も出来ないまま数年が経過した。
多分事件は未解決のまま風化してしまったのだと思う。

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