幸子さんから聞いた話

74 :本当にあった怖い名無し:2012/07/06(金) 17:11:41.57 ID:rL+ATT+C0
幸子さんから聞いた話です。
 
幸子さんがが繁華街を歩いていると、前方に、黒いスーツに身を包んだ初老の男性が歩いていました。
見ていると、老紳士のスーツの裾から、「ストン」と財布が落ちました。幸子さんはそれをすぐに拾い、老紳士にわたしました。
老紳士はそれを無言で受け取り、しばらく幸子さんを見つめた後、なにも言わず行ってしまいました。

数日後、また老紳士を見かけました。すると、あの時のと同じように、また財布を落としました。
今度は近くにいたヤンチャそうな男が拾いました。すると男はなにくわぬ顔で財布をポケットに仕舞い込み、走り去ってします。
「泥棒!」――そう叫べばよかったのですが、「係わりたくない」とも思ってしまい、幸子さんはなにも言えませんでした。

その日の夜、幸子さんの夢に老紳士があらわれました。そして何かを言ってきました。
というのは、夢ではちゃんと聞こえたのですが、起きてみると、それをまったく思い出せなかったのです。
「なんであんな夢を見たのかな?」と不思議に思いました。しかし、しょせんは夢……とあまり気にしませんでした。

その日、幸子さんが職場へ車で向かう途中、交差点で事故をおこしてしまいました。

右折した時、直進の車が、ものすごいスピードで突っ込んできたのです。相手の方は、金属片が胴体に突き刺さり、即死だったそうです。
その相手というのが、あのとき老紳士の財布を持ち去った男だったと言うのです。
おたがい車のガラスが砕け散っていたので、顔がはっきり見えたそうです。
幸子さんはこの事故で脊椎を損傷し、下半身麻痺になってしまいました。

――病院でリハビリ中、幸子さんはようやく老紳士の言葉を思い出したそうです。
それは「あなたはからは、半分いただきます」だったそうです。

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