古い石造りの祠
46 :本当にあった怖い名無し:2012/04/23(月) 19:55:57.26 ID:dWou7ngjO
連投規制あるんで、止まったら書き込みお願いします。
オフロードバイク乗って、よく林道を走りに行くんだ。
知らない山の奥にわけいっていく、探検ごっこみたいな感じ。
ちょっと幼稚な趣味なんだけどさ。
で、小さな農家がポツポツあるような、山あいの丘陵地帯を走ってる時のことなんだけど
自分が走ってる林道の先に、周りを全部見渡せそうな、少し高い小山があった
遠くから見て、山腹に道があるのが分かったから、そっちに行ってみた。
道は作業用林道とかじゃない、古い道だった。
軽トラでも無理な幅の、完全に人用の道
笹と低木かき分けてなんとかバイクで登った
道は頂上近くで途切れていたけど、頂上に行ってみたかったから、バイク置いて、5分くらい藪をこいで頂上に出た。
頂上は平らで、20m四方くらいの広さだった
で、北の端に古い石造りの祠があった。しかも3つ
だけど、真ん中の祠だけが崩れてた。
たぶん、長いこと誰も手入れしていない、忘れられた場所なんだろうなって、一目見て感じたよ
何が奉られてるのかは分からなかったけど、崩れたままの真ん中の祠が少し可哀想になった
それで、祠に近づいて石を積み直そうとしたら
「何してんだ!」
って後ろから大声で怒鳴られた
驚いて振り返ると、小柄な野良着姿のじいさんが、俺が登ってきた場所に立って、凄い顔でこっちをにらんでた。
「あ、すみません、おとうさんの山ですか?」
「何してんだ!」
「いや、真ん中の祠くずれてたんで…直そうかと思って…」
「祠ば直す?…何言ってんだ?おめよげなごどすんな!! 俺ど一緒さこ!! はやぐ来い!」
じいさんの迫力に負けて、俺はじいさん方に行くと、じいさんは俺に背中を向けて、どんどん山を下り始めた。
俺がじいさんの後を追うと、じいさんはバイクの脇に座ってタバコに火をつけていた。
「おめのバイクが?」
「はい、すみません」
「…おめ、『祠』って言ったげど、あれが祠に見えんのか?」
「…祠じゃないんですか?」
「祠じゃね、あれは。祠は神さん奉ってあっとこだ。
あれは墓だ、奉ってあんのは神さんじゃね。」
「お墓…なんですか?」
「ずーっと前んだ。
おめは知りもしね死んでる人間に気使うなんてすんな…早ぐ帰れわ!」
…俺に山に入られたことがよっぽど頭にきたんだと思う。
じいさんは怖かった。
俺は謝りながら、その場でバイクに乗って山から下りた。
で、俺は後日菓子折り持って、またあの山までいった。
何かじいさんにちゃんと謝れなかったのが気になってた
林道沿いの家で聞いたら、じいさんの家はすぐにわかった
じいさんは家にいた。
俺が勝手に山に登ったことを謝ると、じいさんはばつが悪そうに
「気にしてねーがら、わざわざ来てもらって悪がったな」
といって、俺を座敷に上げてくれた。
俺は、出されたお茶を飲みながら、じいさんが一人暮らしで、息子・娘は遠方にいて滅多に帰ってこないこと、部落の他の家も同じように年寄りしかいないことなんかを聞いてた。
「年寄りの話なんかおもしゃぐねーべ?」
「いや、そんなことないっすよ」
「あんたは若くて、あいなバイクさ乗って色んなどご行ぐんだべ?
まだまだこれがらの人だがんな…」
「おめが祠って言ったあれな、あれは俺のかーちゃんとばんつぁん(ばーちゃん)、しゃで(おとうと)の墓だ…」
「うちは小作だったんだ、戦争の前は他人の土地に小屋建てて、他人の田んぼ耕して、んで米もらってたんだ」
「まず貧しかったな、学校さもろぐすぽ行がねで、田んぼ耕したり、タニシ拾って売りに行ったり…
「そのタニシ売った金さげ地主さとられたりしてたな」
「でも、戦争終わってしばらくしたら、うちも畑と田んぼもらったんだ、アメリカが言ったせいだな
あん時は嬉しがった。素晴らしく嬉しがった。
自分で耕した田んぼが自分のものさなんだかんな」
多分、戦後の農地解放のことだと思うけど、じいさんの家族(当時は祖母、父、母、少年じいさん、弟の5人家族)は、地主から耕地を分けてもらったらしい。
でも、話はそう簡単じゃなくて、もらった今の耕地は酷い土地だった
「いい田んぼは、みんな地主のさ
うちがもらった田んぼは土も水も悪ぐねがったけど、悪りがったのはあの山だ」
「あの山な、このあたりのヘクソムシ(カメムシ)が皆寄ってくんだ、訳はわがんねけど。
近くで田んぼなんて、やれたもんでね」
「稲も芋も、みんな病気になってしまって…今なら薬使って駆除すっぺ? あの頃、そんなもん買う金はねがった」
家族が力を合わせても、カメムシの被害はどうにもならず、じいさんの家の貧しいままだった。
そのうちに祖母、母親が体調を崩して亡くなった。
「もう、どうしようもねがったな…
そうしてるうちに、親父がインチキ占い師に狂ったのさ
『カメムシが山に集まるのは土地神の祟りだ』『祟りを鎮めるには人柱がいる』って言ったんだ、占い師が」
「おめ、信じっか?
いくら昔でもよ、信じっか?
だいたい人柱なんてどーすんだ?」
それまでは、うなずいて聞いてたけど、ちょっと相づちがうてなくなった…じいさんの話は続く
「親父は信じたんだ…だけど人殺すわけにはいがねべ?
…死んだばんつぁんな、墓から掘り出して、あの山のてっぺんに埋めなおしたんだ」
「ばんつぁん埋めて効果あったと思うか?
あるわけねーべ
次は俺のかーちゃんだ。占い師に『人柱がたりない』て言われたからだ。
親父は狂ってたけども、人の心はあったんだ。
泣きながらかーちゃんの墓掘ってた」
「最後はしゃでだ。
しゃではまだ10歳だ。
しゃではな、身体が弱くてよ、長生きは出来ねがったと思う。
だけどよ、親父が自分の息子死にそうな時に、枕元で埋める場所の話をすんだ…」
じいさんの親父は、家族3人を山に埋めた後、すぐに亡くなった。
もちろんカメムシはどうにもならず、何年か後、農薬を買えるようになったじいさんが、駆除を繰り返してからは、以前のような発生は無くなった
「結局、祟りでも何でもながったんだ」
「…だから、あの山の墓は俺のばんつぁんとかーちゃんとしゃでの墓なんだ。
おめが直そうとしたのは、しゃでの墓だ。
あの後、俺が直しておいたからよ。
…俺はずーっと行ってなかったんだ。
しゃでの墓壊れてんのを、おめに先に見つけられて、頭きちまってよ…
あん時は、怒鳴って悪りがったな」
じいさんは謝りながら、俺に何杯目かのお茶をすすめて、俺は急いで飲みほした。
要約すると、3つ並んでる祠だと思った物は実は墓だった、害虫に悩まされた爺さんが
占い師の「土地の神様に人柱を差し出せば害虫の被害はなくなる」という助言を信じて
身内2人の墓を山に移して、死んだ直後の弟の墓も山に作った話だね
要するに「爺さん必死だな」って話だね

