合図
0927 本当にあった怖い名無し 2011/12/24(土) 16:17:26.42
意味コワかもしれない、ほんのりかもしれない
一つ違いで小中高すべて同じ学校、今でも仲の良い兄がいる
幼少期は同じ部屋で寝起きを共にしていたのだが、
兄が中学に上がる時、一つの部屋に薄い木製の間仕切りを入れて各々の個室にした
高校生になって自分たち兄弟にとっての問題は一つゲーム機をどちらの部屋に置くかと言うことだった。
元々、父は一つの部屋を二つの部屋にする事を想定して部屋を作っていたため
間仕切りを入れる前の部屋には、ベランダに出るためのドア(スライド式)が二つ付けられていた
つまり、間仕切り後の兄の部屋、俺の部屋ともにドアがあり、ベランダで繋がっていると言うものだった
そうなると寝ている両親に気づかれないよう、深夜ゲームをするために兄がベランダから訪れる、または自分がって事はよくあった
兄が受験、俺も部活、恋愛に青春してた当時ゲーム機紛争も続行していた
当時は大学入試を理由に、俺の部屋にゲーム機を置いていた時の話
高校二年、文化祭も終わり部活、勉強そこそこに恋愛に全力を注いでた当事、同級生の女の子と付き合っていた
そんなある日、彼女の「会いたい」とメールが深夜に来たのを覚えている。
冬に向けて寒さが本格化する時期に深夜に自転車で30分かけ彼女の家に向かうのは正直面倒だったし
親の目もある上、いくら恋愛に全力を捧げていたとは言え、そこまで行動できるものではなかった
その旨をオブラートに包みメールで送信すると「私が会いに行く」との返信があった
少し気が引けたものも、会いたい気持ちには逆らえず近所の公園で合うことになった
深夜公園で「あーでもないこーでもない」と取りとめもなく会話して
朝日を迎える前に彼女とさよなら、それから時々から頻繁へと深夜のデートの回数は増えていった
そしてクリスマスを終えた辺りで寒さの限界を向かえ、深夜のデートをやめるか、親に隠れて俺の部屋に忍び込むかが
デートの主な会話になった。
そこで俺の部屋でゲームをしていた兄にすべて話をしたら
「いいんじゃない?別に俺に迷惑かからなかったら」
とさっぱりしたものだった。
そこで、ルールを作った
ルール1~ランデブー~
《彼女が部屋に来た(もしくは来る予定の)時は空メールを送る》
ルール2~壁ノック形式~
《二回ノックで「行っていい?」》
《返事なし「寝てるから勝手にどうぞ」》
《一回で 「来ていいよ」》
《二回で 「無理」》
と言う合図を俺たち兄弟で決めた、ルール2は兄と彼女がブッキングしないための確認みたいなものだった
もちろん口止め料は破格なものだったと思う。
結局兄が卒業するまで両親や兄と彼女がブッキングすることなく俺が三年に上がったあたりで突然、好きな人ができたからと
別れを切り出されあっけなく振られた
機械工学に行った兄からの愚痴を聞いたのと、理系クラスだと彼女と同じ授業が増えるのが苦痛と言う理由もあり
文系へと志望を変え、受験勉強に悪戦苦闘していた
受験に力をいれて・・・根性いれて勉強を・・・と考えるが、俺の部屋に置かれたままのゲーム機がそれを拒んでいた
それから半年くらいは受験、ゲーム、友達と、恋愛はどこかに行ってしまった生活が続いた
そして、初めての深夜のデートから約一年ちょっと、クリスマスが終わった頃、茶髪にパーマの田舎者の兄が凱旋帰郷してきた。
その日は親公認のゲーム許可出て、深夜までいろいろなゲームをしながら二人で話していた
鉄拳をしながら
「大学は地獄だぞ~遊ぶ時間なんてないぞぉ~」
「うっせーなーどうせ半年もしない内に大学生だよ」
「すげー自信だな、こんなゲームしてて受かると思ってんの?」
「一年前の自分に言えよ」
「きゃきゃきゃきゃ」
とケタケタ笑う兄に腹が立った俺は、勉強そっちのけでやり込んだポールでボコボコにした。
何十回対戦したか数えられなくなった頃、ピリリリリリ・・・兄の携帯が鳴った
「何?彼女?愛してるよぉーって?」
「ん?・・・」
「あっ!懐かしいな、地味なボケやめろよ」
と笑いながら携帯を見せてきた
《送信者ー俺》
《件名ーなし》
《本文ーなし》
の空メールだった、え?と思い自分携帯を確認したが送信履歴にはなかった。
もちろん鉄拳を夢中でプレイしていた俺がメールした記憶などなかった
その時、部屋の間仕切りから
コンコン
一瞬意味がわからなかったが一年前何度かなったその音を思い出し、
唖然となり数秒後に一年前ノックしていた人間は自分の隣にいることに、より一層意味がわからなくなった
スルーして鉄拳するべきか、それとも空耳なのか・・・
「手込んでるな、どんな装置作ったんだよ」
兄が口を開いた瞬間再び
コンコン
ヘラヘラ笑っていた兄だが、おそらく真っ青な顔をして固まっていた俺を見て
兄の顔が強張って行くのが見ていてわかった
コンコン
制限時間だけが経過するゲーム画面でポールと風間仁が左右に揺れている
コンコ・・・ピリリリリリリ!
再び兄の携帯が鳴ったが兄は携帯を持ったまま固まっている、俺も携帯を握り締めたまま固まっていた
コンコン
響く着信音、ノックの音
テレビを挟んで奥の壁から響いていたノックの音がゆっくりと左に動いているのがわかる
ゆっくり・・・ゆっくりベランダに向かってノックが動いている
コンコン・・・コンコン
たぶん兄も俺と同じ事を考えたていたのだと思う
顔を見合わせたまま俺も兄も固まっていた
ルール2~壁ノック形式~
《二回ノックで「行っていい?」》
《返事なし「寝てるから勝手にどうぞ」》
《二回で 「無理」》
兄とノックを返すかどうかアイコンタクトを取ろうとしたが
ノックの音は確実にベランダの方向へ、今にも出そうな位置だった
携帯は受信→着信音→受信を繰り返しているのか鳴り止む気配はない
冷静な頭なんてもうなかった、
ヤバイヤバイ何か来てるヤバイ、ノック返すなんて無理、ベランダの方なんて見れない、怖い動けないヤバイ
ヤバイと怖いで頭の中がいっぱいだった。
突然兄がテレビの電源を消した瞬間、俺も自然と部屋の電気を消してその場に横になった
なんでその行動をしたのかわからないが、その時はそれしかないと思った
ふとノック音がなくなった、が携帯はまだ鳴っている。ぎゅっと目蓋を強く閉じた
響く着信音は結構な音量だったが自分の心音に比べれば小さいと思えるほどだった
ガラガラ
ドアが開く。決して目は開かない、できることなら心音も止めてしましたい
兄の事なんて頭の中にない、助かりたい、助かりたい、怖い
何の気配もない、携帯は鳴り止まない
一時間だったかもしれないし、10分だったかもしれない、どれだけの時間が経ったかかわからないが唐突に着信音がなくなった
ガラガラ
ドアを閉める音がした
でも俺は決して目を開かない、もし得体の知れないソイツが閉めたふりをしていたら?出て行ったふりかもしれない
絶対に目は開かない、兄はどうしているのかは知らない、ただただ朝が来て欲しかった
もちろん気が遠くなって・・・なんて事はなかった、ただただ恐怖の中、目を閉じ朝が来るのを待っていた
本当に朝が来るのかと思い、その疑問を頭の中で反芻している内に不安と恐怖でいっぱいになり泣きそうになった時、
遠くでガチャっとドアの開く音がした。母か父が起きたのだと思う、その音でふと恐怖が和らぎ、兄が今どうなっているのか気になった
でも俺は目は開かない、決して開かない、そうこうしていると足音が近づいてくる
「あぁ母だ」
聞きなれた足音に頭の中で歓喜して早く起こしに来てくれと願った
ガチャ
「あんたらそろそろ起きやぁ」
「なんや、泣きそうな顔して、パン焼いてるからはよ起きてき」
慌てて振り返ると、
兄は笑っていた

