一家全員で来て欲しい

765 :本当にあった怖い名無し:2011/11/18(金) 23:45:57.98 ID:rSkaQ8UC0
霊的な話では無いが、小学校の時から付き合いのある男が30過ぎてようやく結婚する運びとなった。
独身を突き進んできた彼とは徐々に話の接点も減ってきたので、このめでたい機会に再び会えることは都合の良いことに思えた。
招待状が届き、一家全員で来て欲しいとのことで、妻、長男、生まれて間もない長女までの名前が記載されている。
日取りを確認し、大切な日だから手帳に書き入れた。
結婚式参加と…。
当日フォーマルを着込み、指定のホテルへ向かう、日時と時間も再び「手帳で」確認したから間違いない。
ロビーについて挙式するカップルが複数組あることがわかる。
幼なじみの会場はどこかなと…。
あれ? な、名前が無い!?
慌ててロビーに詰め寄り、幼なじみの挙式会場はどこなのか問いかけた。
そこで驚愕の事実を知る。
振り返ると落ち着かない様子の妻や、着慣れない窮屈なフォーマルに難儀する長男の様子が見える。
時間が止まるような錯覚に膝がガクガクと震えた。

俺は意気消沈していた。
招待客が揃い、バージンロードを振り向いたとき、一番来てもらいたいと思っていた幼なじみの姿が見えなかったのだ。
入場する予定の新婦ではなく、幼なじみの顔を探していた。
披露宴会場に移動しても、彼ら一家の席は空席だった。
とても大切な友、しかし彼が結婚したのを期に疎遠になっていたので、主賓席に近い正面のテーブルを用意したのだ。
そこが寂しく空いている。
事故にでも遭ったのだろうか?
その内来るさ。きっと来てくれる。
その期待がついには絶望へと変わった。
翌日、一本の電話がかかってきた。
俺から掛けるべきだったのかもしれないが、事情があったのかもしれず、掛けられなかったのだ。
アパートから最寄りの駅にいるとの事で、妻と行くことにした。
駅に着くと、車を降りた幼なじみの姿が。
バリっとしたフォーマルを着込んでいる。そして長男、長女もおめかししているのがわかる。
この日の為に用意してくれたのだろう。友人と、彼の妻は涙を流しながら謝罪した。手帳に書き込んだ挙式の日が、実際よりも一日遅かったことを…。
彼の体験した恐怖を想像して、ほんのりした俺。

前の話へ

次の話へ