頭の中で自動再生

551 :本当にあった怖い名無し:2011/08/02(火) 05:11:54.00 ID:UOyiYSW70
昔から私には,何かふとしたきっかけで,昔のことを鮮明に思い出し,
その記憶の映像が頭の中で自動再生されるようなことがあるんです。
それに関する奇妙な話をお聞かせします。

ある晴れた夏の休日,外をふらふらと散歩していた俺は,
暑さにやられて,なんだか急にビールが飲みたくなった。
公園のベンチで,酒屋で買ったビールを喉へと流し込もうとした瞬間,
急にフラッシュバックのような状態に陥り,視界が急変した。
ザバァーン!という音とともに,ひんやりとした感触に包まれ,
音のない空間の中,水色に塗装された壁が真っ先に視界に飛び込んできた。
恐ろしく鮮明な映像として映し出されたその記憶は
幼少のころ市民プールで遊んだ時のものだった。
ビート板で友人の頭をふざけて叩いて馬鹿笑いしていた記憶を
網膜の裏で眺めながら,少し過去の思い出に浸っていると,
その映像の隅で,一人の少年がこちらを見ていることに気付いた。
彼は水着を着ているわけでもなく,プールサイドから
何やら羨ましそうにじーっとこちらを見ていた。
「彼はいったい誰なんだろう」
そう思った瞬間に記憶の映像が途切れ、ふと我に返ると,
ビールはまだ缶の1/4も減っていなかった。

それから数日がたったある日,仕事帰りの電車内でのこと。
某線の各駅停車に乗って車窓から外を眺めていると
並走している同線の準急電車がこちらの電車を追い越そうとしていた。
ちょうど二つの電車が並んだ時,向こうの車内になんとなく目を向けると,
乗っていた一人の男が俺の顔を見てはっとしたような表情をした。
「あれはあのプールにいた彼だ。」
彼は,大人になっていたが昔の面影を大きく残していた。
そして,こちらに身振り手振りで何かを伝えようとしているように見えた。
しかし,準急電車なので向こうの方が進むのが速く,
並んでいるのはあっという間,すぐに走り去って,
こちらの電車を追い抜いて行った。
ただ,同線であるため,何かを伝えようとしていたのなら,
準急が止まる駅で降りてこちらの各駅停車に乗ってくるかもしれない。
そう思い少し緊張して待ち構えていたが,結局乗ってくる気配はなかった。

彼はいったい誰だったのか?
もしかしたら,記憶の中から消えている知り合いのだれかだったのか?
でも,当時遊んでいた旧友に聞いてもそんな奴は知らないという。
そして,並走した電車に乗っていたことは偶然だったのか?
あの身振り手振りは,何を伝えようとしていたのか?
本当にこちらに向けていたものだったのか?今でも色々と疑問は尽きないが,
あれから5年もの間ずっと彼に遭遇していないし,
あのプールの記憶が蘇ったこともあれ以来ない。

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