黒いダンボール箱の中へ

143 :本当にあった怖い名無し:2011/05/29(日) 07:38:21.61 ID:7TEzTz6KO
僕が小学生の頃は、ホームレスという言葉はなく、乞食と言うのが普通だった
しかも乞食の人を目撃することも、滅多になかった
ある日、近所の大きな公園に1人の乞食のお爺さんが住みついた
公園で野球をしている時、その乞食のお爺さんのところにボールが転がっていった
お爺さんは笑いながらボールを僕に投げ返してくれた
あの乞食のお爺さんは優しい人なんだなと、僕は思った
またある日のこと、公園に行くと、草むらの影に変な物を発見した
それは黒い長方形の箱が横向きに置かれてあったのだ
それはまるで棺のように見えた

きっとあの乞食のお爺さんの家なのだろうと、友達と話し合って納得した
野球をしているとボールが転がってその黒いダンボール箱の中に入ってしまった
すると乞食のお爺さんがやってきて、ワシが取っちゃるけん待っちょれよ、と言って黒いダンボール箱の中へ潜り込んだ

ところが、いくら待ってもお爺さんは出てこないのだ
広場からは、早くボール持ってこいと、友達の急かす声がした
僕がダンボール箱に近寄ると、ポンッ!とボールが外に出てきた

ありがとう、僕はお礼を言って広場に戻ろうとした
バタンッ!背後で何か音がした
振り返ると、黒いダンボール箱がペッタンコになっていたのだ
あれ、中のお爺さんは?そう考えていると、平面になった箱がパタンッ!パタンッ!と
独りでに折り畳まれて、最後には座布団ぐらいの大きさになってしまった
怖くて僕は逃げた
もう野球をやる気もしないので、用事を思い出したと嘘を言って
友達と別れて自宅へ走って逃げ帰った

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