トカゲのしっぽ
0387 トカゲのしっぽ 2011/05/05(木) 04:50:09.56 ID:io5W4YtS0
昔の話
小学校高学年ころ、”たくみくん”という昆虫が大好きでちょっと変わった友達がいた。
僕は”たっくん”って呼んでいた。
たっくんは、昼休みになると必ず虫取りに行っては、オンブバッタとかオオクロアリとかコカマキリを捕まえて
僕に見せたり、机の引き出しに飼ってたりしていた。
ある日の昼休みに教室に居ると、いつもより上機嫌にたっくんが外から戻ってきた。
「イイモノが取れた」と
ニヤニヤしながら、僕の席にやってきた
「なんだよ、たっくん。ニヤニヤして」
「イイモノが取れたんだって、まぁまずこれを見てくれ」と、肩から下げた虫かごを見せてきた。
その中には、黑光したトカゲが入っていた。
「気持ち悪…何トカゲ?」
たっくんは、ヘヘッ、と笑いながら嬉しそうに話だした。
「ニホントカゲだよ。草むらあさってたら出てきたんだ。トカゲってさ捕まりそうになったら、しっぽ切って逃げるんだぜ。
信じらんねーよな。知ってるかお前?」
へぇーそうなんだー、と適当に流す。いいからその気持ち悪いのをどっかにやってほしかった…
爬虫類は苦手だった。
そしたら「どうだスゴイだろ」とか言って虫かごを下げてくれた。僕の気持ちが通じたのかと思った。 でも違った…。
「で、俺はコレが見せたかったんだよ」
「え?」
そう言うとズボンのポケットに手を突っ込み何かクネクネ動くものを出してきた。 しっぽだった…青色の…
「うわぁーだから気持ち悪いって!何で持ってんの!?」
「獲ったんだよ、コイツから」 人差し指でコツコツと虫かごを突いた。
「えっ!?」…もう一度見るとトカゲにしっぽは無かった。
たっくんは少し口を緩ませて言った。
「しっぽって、切れたら本体が逃げれるように注意を引くことで、もうそれで終わりじゃん
でも、このしっぽは…まだ動こうとしてるだよ。すごいだろ、何でだと思う?」
「何でって…わからないよ。どうして?」
心なしかニヤリと笑って、呟くように言った。
「逃げたいのさ、しっぽも……俺から」
「?」
目は泣いていたと思う………。
あの時のたっくんは少し寂しそうで少し怖かった。でも僕の友達だったんだ。
だから今、後悔してるのかもしれない

