怯えた様に後ずさる

363 :本当にあった怖い名無し:2011/02/10(木) 01:09:04 ID:34ik1uSB0
10年程前に死んだうちの犬、柴犬系の雑種で♀なのに名前はコロ。不審者が来てもガン無視。

そんなコロも、ガスの検針のおばちゃんにだけは怒ったように吠えまくった。
母に言わすと自分が産んだ子犬を検針のおばちゃんに盗られたと思ってたらしい。
ほかは気が向いたとき、野良猫に『ワフッ』って程度に吠えるおとなしい奴だった。

俺がまだ厨房だった夏の日の夜、母親と2人で散歩に連れて行った時の話。

家から1分ほど歩くとその道はある。典型的な田舎の団地の道。
いつもお世話になってた散髪屋さんのある通りで車2台が余裕ですれ違える幅だ。


田舎町なんで光は電柱の街灯と月明かりくらい、もともと暗いんだがなんだか違和感があった。
が、あまり気にせず進もうとしたらコロが道の奥に向かって狂ったように吠え出した。
検針のおばちゃんに吠える時よりも激しく、しかも怯えた様に後ずさる。

『何だ?何がいるんだ?』母と2人で顔を見合わせ道の奥を見てみるが何もいない。
ただ、いつもより深い暗闇がある。何かを吸い込みそうな感じで。
気になった俺はコロを無理やり引きずって少しだけ奥に進んだ。
コロは激しく吠えながらイヤイヤといわんばかりに後ずさりする。

いつもの歩きなれた道なんだがやっぱり何かおかしかった。気温が明らかに低い。
真夏なのに肌寒い。しかも闇が深くて先の光が見えないのだ。
街灯がずっと続いてるはずが途中から全く見えなくなっている。
光の途切れた先の空間は深く濃い闇を中心として、ブラックホールのようにも見える。
しかも雪が積もった夜のように周りの音が聞こえない。夏なのに地虫の声も聞こえない。
コロが吠える声以外は何も聞こえてこない。

霊感が全く無い俺でもさすがにこれはまずいと思った。
かなりビビりなんで間違いなく速攻で帰宅する様な出来事だ。
しかしその日は一人じゃなく母親と一緒だった事もあり、まだ耐えられた。
いつもおとなしいコロをこれだけ興奮させるものは何だ?好奇心もある。
俺はさらに奥に進もうと、狂ったように吠えて嫌がるコロの鎖を力いっぱい引っ張った。

コイツこんな力あったっけと思いながらゆっくり進んでいく。
ブラックホールの手前5メートルくらいになった時、
コロはギャンギャンと鳴いたかと思ったらいきなりゴエッゴエゥと嘔吐しだした。
これを見た俺はさすがにマズイと思い引き返す事にした。 
コロはもう歩けなくなっていた。
コロがヤバイ!そう思いコロを抱き抱え全速力で家に帰り毛布の上に寝かせた。

どうしよう、俺のせいだ。そう思いながらコロを見ていると
予想に反しものの3分くらいでスクッと起き上がった。
さっきの出来事など何も無かったかの様にピンピンしているし、早く散歩に行こうよとせがんでくる。
俺は拍子抜けしたのとやっぱり怖かったのでその日はもう出歩かなかった。


その後はその道を通っても二度とそんな事は起こらなかった。
もちろんコロも何事もなく長生きして17年生きてくれた。
でも今でもたまに思うんだ。あの時あの道を奥までいったらどうなっていたんだろう。
ブラックホールの先には一体何がいて…。
今でもほんのり怖くなっちゃいます。

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