視界の端

698 :本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 21:52:52 ID:V5NQkCqeO
で、帰りのあぜ道を歩いてたんだけど
田舎だし夏だから辺り一面青々とした稲。
ちょうど太陽が一番高いぐらいの時間で、光が水田に反射してキラキラ光ってた。

それ見て子供ながらに「きれいだなー」とか思いつつとことこ歩いてると、
さっきから視界の端にちらっ、ちらっ、と何か写るのに気づいた。

気になってそっちの方を見てみると、
稲のかなり向こう、防風林もどきみたいな林のそばに、なんかあったんだ。
遠くて形はよくわからないけど色は白。
なんだろう、と立ち止まってしばらく凝視してると、急にバケツの魚が暴れ出した。
俺はなんだか気味が悪くなって見るのを止めてちょっと小走りに急いだ。

でもやっぱり写るんだ。
視界の端にちらっ、ちらっ、ってさっきのやつが。

俺はたまらず、もう一度そっちを見ると、
ちょっとビクッてなった。
明らかに俺に近づいてるんだよね。
さっきまで点だったそれがだいたいの形がわかるくらいの距離になってた。
色はやっぱり白で、風になびいてるのか、蜃気楼みたいになってるのか、ゆるゆるくねくねしてた。
そのときの俺は、物干し棹で揺れてるじいちゃんの腹巻きみたいだと思った。

それで、なんか魚はますます暴れるし、いよいよ俺怖くなって、
バケツを胸に抱えて本格的に走り出したんだ。

でもやっぱり視界の隅には、ちらっ、ちらっ、っていうのが映ってて、ていうかむしろさっきより近くにいるみたいで。
つか川と祖父母家まで500Mくらいしか離れてないのに、明らかに俺それ以上走ってるのに、何故か全然家につけなくて。

もう何がなんだかわからなくて、泣きたくなって、
抱えてたバケツぶん投げて足が千切れるぐらいに走って必死に逃げた。

で、気づいたら家の縁側の前で、息ぜぇぜぇ汗だくだく、涙ぼろぼろで膝に手をついてた。
縁側に座ってたばあちゃんの話だと、俺は狂ったと見紛うばかりの動きと速さで家に転げ込んできたらしい。

俺はしどろもどろに今起こったことを話すと、ばあちゃんは特に驚くでもなく
「ごめんなあ。言うの忘れてたわ。でも相手にしなけりゃ悪いことはしないがら。とりあえず風呂入りな」
と言って夕飯の支度に取り掛かってしまった。

そのあと俺は何度もじいばあにあれは何だったのかと聞いたんだが、
なんだかはぐらかされてるようで、きちんと答えてもらえなかった。

翌日、逃げるときにほうりだしたバケツを取りに、じいちゃんと二人でそこに向かった。
俺はビビりまくってたが特に何も起こらなかった。
ただ、バケツのそばには何かに食いちぎられたような魚の死体が転がっていたのは、よく覚えてる。

そのあと帰る日になって、あの防風林の横を両親の車で通ったら、ちらっと祠みたいなのが見えた。

結局宿題は手つかずのままで、俺は母にしこたま怒られた。(兄は兄でマルス?倒したとか言ってやっぱり怒られてた)

結局あれは何だったのかと、夏がくる度に思い出す。

長文失礼しました。

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