恐山のイタコは本当に霊を降ろせるのか

525 :1/3:2010/08/30(月) 20:22:53 ID:vyBb1ZWk0
俺は中学生の頃、くだらないことをやらかしては、よく先生から指導室に呼ばれて怒られていました。
その日も、友達数人と指導室に呼ばれていました。
この話は、その時に怒り終わった先生が俺たちにしてくれた昔話です。

先生がまだ大学生だった頃、友人たち数人と東北へ旅行に出かけたそうです。
旅の目的のひとつは、恐山のイタコは本当に霊を降ろせるのか試してみよう、
というものでした。
先生を含め、皆が幽霊や霊魂といった類のものを信じておらず、
「どうせ嘘に決まっている」
「せっかくだから、嘘を見破ってやろう」
などと考え、悪だくみをし始めたそうです。
それは先生の友人(以下A)が死んだ事にして、Aは別の場所で待機しておく。
イタコがAの霊を降ろしたところで、Aをその場に登場させ、
「実はAは死んでません!!」とバラす、というものだったらしいんです。
作戦通りにイタコの元を訪ね、先生の友人の一人がAの彼女役ということで、イタコに
「どうしても去年死んでしまった彼氏に合わせて欲しい」
とお願いをしたそうです。

すると、イタコは降霊の儀式を始め、ポツリ、ポツリと話し始めたそうです。
「苦しい、助けてくれ、息が出来ない……」
先生たちは笑いを堪えつつ、その様子を見ていたそうです。
それでもイタコはさらに続け、最後に、
「こんなことなら、本当に付き合いたかった」
と言って終わったそうです。
そこへ、生きているAが登場、となる筈だったのですが、いくら待ってもAがやってきません。
最初の予定では、時間を見計らって建物の中に入ってくる予定だったため、降霊が終わる頃には、
建物の近くで待機しているはずだったのです。
不思議に思った先生たちは、とりあえずその場を終わりにして、Aを探しに行ったそうです。
しかし、その後しばらく辺りを探したそうですが結局Aは見つからず、
警察へも届け出て捜索してもらうことになったそうです。
そして次の日、イタコに降霊の儀式をしてもらった場所から少し離れた川で、
水死体となって発見されたそうです。

これは後日わかった事だそうですが、Aの死亡時刻は、
ちょうど先生たちが降霊の儀式を受けていた時間だったらしいです。
どうしてAがわざわざ離れた川まで行ったのか、泳ぎの得意なAがそこまで深いわけでもなく、
流れも穏やかな川で溺れたのか、不明な点は多かったらしいのですが、結局は事故死として扱われたそうです。
先生たちは、誰もがあんなバカな事をしてしまった自分たちの行動を恥じたそうです。
Aの両親には、その事を話そうとも思ったらしいのですが、ひとり息子のAを亡くし悲しんでいる両親を前にして、
とても話すことはできなかったらしいです。
そして先生たちはこの話は、自分たちの中でもタブーとし、今まで誰にも話さなかったらしいです。
「もう、十年以上前の事だけど、今でも後悔しているよ」
そう先生は言い、最後に、
「神様とか幽霊をバカにするような遊びだけはやらないでくれよ」
そう、厳しくも悲しそうな目で俺たちを見ながら言いました。
俺たちは全員心の底から反省して、それ以降は勝手に神社の境内に忍び込むとか、
深夜に肝試しと称して近くの心霊スポット巡りをすることはなくなりました。


おわり

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