夢枕

655 :本当にあった怖い名無し:2010/04/21(水) 11:16:04 ID:jmTfvEDE0
>>649-650
感謝。

ふむ……まあ、もしかしたら、ほんのり怖がってくれる人が居るかも知れないから書き込ましてもらう。

一応前置きすると実体験、夢枕に関する話だ。
何年前の話か、何処に住んでるかって説明は別に要らないだろう。
おいらの霊感は……あえて言うなら人並みか? 普通に見るときは見るし、聞こえるときは聞こえる。
そんなおいらの話。


中学の時、母方のばあちゃんが逝った。
癌だ。
死に顔は、癌だから安らかって分けでもないが、まあ苦悶で歪んだ表情でもなかった。
最後の数日は意識が戻らなかったしな。
で、その通夜の夜に見た夢枕。

通夜って、基本起きてなくちゃいけないだろう?
親族ならなお更。
だが、あの時の俺は中学生、体が休みを欲していた。
それを察したのか、じいちゃんや親族なんかは寝ても良いぞと言ってくれた。
その言葉に甘えて、俺は家の二階で休ませて貰うことにした。
因みにそこはじいちゃんの家、二階建てのちょい古い家。
ばあちゃんの遺体は一階に寝かされて、訪れる人を待っていた。

で、二階に行ったおいらは、横に成りながらも一応起きていた。
「寝ちゃいけない、通夜の晩だ、ばあちゃんにも散々世話になったしおいらも頑張んなきゃ」
そう思って。
しかし瞼は重い。
ちょっと視界が暗くなって、慌てて首を振って、また船を漕ぎ出して
そうやってギリギリ耐えて居たんだが、とうとう限界が来た。
――ストン
と落ちるように意識が沈んだ。


目が覚めた。
いや、目が覚めながらも夢現だ。
夢と認識している夢の世界。
辺りを見渡すととても明るくて、薄金色とも、乳白色とも付かない不思議な霧の様な物が満ちている。
しかし嫌なものじゃあない。
もっと穏やかで、包み込まれるような何かだ。
で、おいらはその中を歩いていた。
――ああ、夢の中だ。
そういった認識は……あった。
しかし自分自身に対する認識や、しっかりと大地を踏みしめているって感覚は朧この上なかった。
まあ、夢だから当たり前かも知れないがな。
で、そんな世界をおいらは暫く歩いていた。
そうすると……だ、遥か彼方に何か黒い点の様な物が見える。

そう思った瞬間に、脳みそが直接理解するような感覚で、その点がズームアップされた。
それは、ばあちゃんと金色をした竜だった、黄竜っていうのかね? 東洋竜だ。
今考えても不思議な光景だ。
辺りは霧の様な物が立ち込めてるのに、遥か彼方まで見渡せる。
ばあちゃん達も、地平線の彼方の点だと、間違いなく認識してるのに、目の前に居るかのように見える。
あえて言うなら、FPSの様な視点と、RPGの俯瞰視点、その両方を持ったみたいな。

で、ズームアップされたばあちゃん達は笑っていた。
とても穏やかで、綺麗な笑いだ。
隣の黄竜も穏やかに笑っていた感じだった。
不思議だよな、竜の表情まで認識できたんだぜ?
一流の彫刻家が作り上げた厳ついような、それで居て量産品のぬいぐるみみたいに可愛いような、不思議な感じの竜だ。
でも、脳みそが理解してる、こいつは黄竜だって。
不思議だ、感覚がそれ以外の答えを全く出さなかった。
その二人が穏やかに笑って居たんだ。
だからおいらも返したよ。
微笑を。

そこで夢は終わった。

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