部屋の前で止まった
433 :本当にあった怖い名無し:2010/04/12(月) 04:55:59 ID:MZ5AunH70
私が高校生の頃学校の先生から聞いた話を投下。
ほんのりもしないかも知れないので先に謝っておく。
先生がまだ大学生の時。
安アパートの二階に住んでいた。
蒸し暑い夏のある日。先生の部屋へ友人が遊びに来ることになった。
六畳間の狭い部屋で昼の暑さに耐えながら待っていると。
外付けの階段を昇ってくる甲高い足音が聞こえて来た。
その足音は廊下を渡り、だんだんと一番奥の先生の部屋へ近づき、部屋の前で止まった。
友人が来たのだと思い、扉に向かって「開いてるよ」と声を掛けた。
しかし、返事が無く、扉が開く気配も無いので不審に思いこちらから扉を開けた。
誰も居ない。真横にある共同便所に入ったのかと中を確認したが、やはり居ない。
かといって他の部屋へ入った物音もせず、不思議に思いながらも部屋へ戻った。
ほどなく夕方になり、友人が約束通りにやって来た。
狭い部屋で卓袱台を挟んで扉側に友人が、その反対側、窓側に先生が胡坐をかいて座った。
友人が持参したビールやつまみで一杯やりながら、学校の事やバイトの話で盛り上がっていった。
深夜になり、ふと昼間の不可思議な出来事を思い出して友人に話して聞かせた。
すると、友人はこちらを見て驚いた顔をする。
いや、良く見ると自分ではなく、その後ろを見ているようだ。
なんだろうと肩越しに振り返える。
すぐ目の前、自分の真後ろの窓の外に男性が立ってこっちをじっと視ている。
その時思ったのは「え?誰だろうこの人は?」という位だった。
丸い眼鏡を掛けた中年の男性はこっちを見つめたまま、すぅっと煙の様に消えた。
呆けたように、男性が消えた空間を見つめたまま思い出したのは、ここは二階で窓の外には人が立てるようなスペースは無いという事だった。
それから暫くして、小用で親戚の家へ行き、仏間に入って驚いた。
先祖の写真が飾ってある額の一つに先日見た男性の顔があったからだ。
親戚に尋ねるとその方は、先生が生まれるずっと以前、太平洋戦争の時に亡くなられた方だという話だった。
それにしても、なぜ面識の無い自分の所へ、あの時現れたのかは今でも判らないと仰っていた。
ちなみに先生は物理の担当教諭だが、「視ちゃったモノはしょうがない」と悪びれもせずにのたまった。