イタズラ電話
252 :本当にあった怖い名無し:2010/03/30(火) 10:29:40 ID:1TQqiUWR0
学生の頃の話
東京の安アパートで一人暮らししていた。
ある日バイトも休みで授業も無く部屋でボーとしていた、
まだ携帯電話の無かった頃で電話は部屋にあるだけだった。
部屋の電話がなったので出たけれど相手は何も言わない、
「誰? ○○? ××?・・」
思いつく友人やバイト仲間の名前を挙げたがやはり応答は無い、
しかし相手の息づかいと言うか雰囲気は感じ取れる。
「おいっ暇人、何をイタズラしてんだよ、あー?」
無言電話だと思い少し強い口調で言ってみた。
「・・・・さびしいの 」
一瞬ドキッとした、相手からの返事なんて期待していなかったし、ましてや小学生位の女の子の声だ。
「おうちの人は? イタズラ電話すると怒られちゃうよ」
相手は自分の事を聞かれても何も答えない、
「お兄さんはさびしくないの?」
唐突に何を言っているんだ・・・コイツ
「大人はね、ひとりでもさびしくないんだよ、切るよ!」
電話を切ろうとすると相手は、たあいも無い事、昨日のご飯は何を食べたとかを聞いてくる。
こっちも無視すればいいのについつい答えてしまう。
「昨日はコンパだったからツマミがご飯代わりだったかな」
「こんぱって何?」
「コンパってみんなでお酒を飲む事だよ」
「みんなでお酒飲むと楽しいの?」
「ああ、楽しいよ」
「ツマミって何を食べたの?」
「揚げ出し豆腐とか山芋の磯辺揚げとか・・・」
ツマミについての説明をひとつひとつ聞いてくる
「コンパの帰りに傘を失くしちゃってさ、困ったな」
「傘は一本しか持っていないの?」
「ああ。いつも出先で雨降ったら買うから愛着がないのかもな」
本当にどうでもいいような会話をしばらく続けていた
「また電話してもいい?」
「電話番号知っているのかよ? どうせ出鱈目に数字押したんだろ」
「・・・ 教えて」
「ダメっ、もうイタズラ電話したらダメだからね」
「 」
「 ・・・今日はお話してくれてありがとうね」
二度とその女の子から電話が来る事は無かった。
相手の素性も事情も知るすべがないけど、番号くらい教えてやれば良かったと今でも後悔している。