あっさり別れた女の子

153 :本当にあった怖い名無し:2010/03/23(火) 14:05:39 ID:WbRBYviw0
記憶にまつわる、怖かった話

大学時代、なんとなく知り合ってちょっと付き合って、あっさり別れた女の子がいた
というか、おれの記憶ではそういうことになっていた
で、このたび、父の逝去で高校卒業以来ほぼ20年ぶりに実家に帰った
大学卒業時にアパートの部屋から送った不要物が自室に放り込まれており
こちらは十数年ぶりに開けてみた
その中に、当時別の土地の大学に通っていた高校時代の友人にあてた手紙があった
なんらかの理由で出さなかったものだろうが、読んでみるとちょうど上述の彼女と
つきあっていた頃のものらしく、その子とのことが詳細に書いてある
ほぼ毎日会っており、あちこちにふたりで出掛け、それはもうラブラブな様子
なるほど、こんなもの友人に出すのは、はばかられて当然、とその意味では腑に落ちたが
この子とこんなに仲良かったこともラブラブだったこともまったく記憶にない
まあ恋愛沙汰の記憶など、没頭している時と冷めた時の印象が違って当然だろうが
ここで怖かったのは、自分の記憶のいい加減さである
おれの考えているおれのこれまでの人生は、実際の人生とかなりの開きがあるのではないか
との疑念にとりつかれる
写真も出てきた
思わず「む」と声がもれるほどのブス
こんな女に熱を上げて時間と手間を浪費し、あまつさえそれを遠方の友人に自慢しようとさえしていたのだ
ぞっとした
若気の至りで、ちょっと可愛い子と軽くノリでつきあっちゃったことがあってさーという
おれの思い出を返せブス

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