メガネとハンカチも釣った
994 :本当にあった怖い名無し:2010/03/17(水) 23:21:03 ID:2YZFR6ig0
埋めも兼ねてほんのり一つ。
俺は釣りが趣味でよく休みの日は海に出かける。
釣りって言っても船に乗るような本格的なのじゃなくて、堤防からの五目釣りだけど。
去年の夏、大学時代の友達3人と俺(全員男)で瀬戸内海に面した小さな町に出かけた。
一泊二日の日程で夜遅くに出発、早朝に町に到着。
そこは静かな港町で船着き場と砂浜が一緒になってるような所だった。
民宿に車停めてさっそく海に繰り出して釣り始めた。
堤防には俺たち以外誰もいなくて、ビール呑みながら馬鹿話しながら釣る。
飽きると海に飛び込んだり砂浜で焚き火したり昼寝したり。うん、子供だ。笑
これまでにも何度かこんな泊まりがけの釣りしてたのでみんな遊び方は知っている。
みんな住んでる所も仕事もバラバラだけど、やっぱいいねーこういうの。なんて話しながら。
夕方近く、俺が変なものを釣った。
リール巻き上げて針に掛かったものは・・・メガネだった。
今時の軽い奴じゃなくて、故小渕首相が掛けてたような重くてレンズの大きいメガネ。
みんなゲラゲラ笑って、よ、太公望!名人!なんて囃やしたり。
それからすぐ、俺の隣で竿出していたAにも変なのが掛かった。
たぶんハンカチ、だと思われる布切れ。
これもゲラゲラ笑って、漫画なら次は長靴が釣れるなー、なんて話してた。
残念ながら?長靴は釣れなかったけど、やがて日が暮れてきたので片付けして民宿に帰った。
民宿のおじさんに釣ってきたキスとクロダイを料理してもらって夕食。
おじさんは話好きな人で町のいろんなこと話してくれた。
いいところですねー、僕らまた絶対ここ来ますよー、魚もいいし。
あ、そういえば今日メガネとハンカチも釣ったんですよー。
なんて話してたらおじさん、急に真顔になって「メガネ?」って聞いてきた。
メガネ釣った経緯を説明してると「それどの辺?どんなメガネ?」真顔。
大体の場所説明すると
「実はね、先日海が嵐で荒れて、船の様子見に行った人が一人帰ってきてないんだ。
あんちゃんたちが釣ったメガネとハンカチはその人のかも知れない。
まだ仏さんも揚がってないから明日警察に言っておくよ」
民宿なので川の字で雑魚寝して朝起きると、Aが青白い顔してる。
どうしたんだ?ってみんなが聞くと、何やら夢に知らない老人が出てきて「ありがとう」って言ったらしい。
何か薄気味悪くなって目が覚めてよく寝付けなかったんだそうだ。
ちなみに俺は何も夢を見た記憶がない。鈍感とはすばらしい?
ははぁ、それはメガネの持ち主がお礼を言いに来たのかも知れないなー。
民宿のおじさんが近くの金毘羅様(海の神様の神社)の場所を教えてくれたので、帰りに寄っていった。
実はメガネもハンカチも釣ってすぐ海にポイしてしまったので何か罰が当たるんじゃないかとビクビクしてた。
でも金毘羅様に手を合わせたのが良かったのか、4人全員今も健在。
一人離婚した奴がいるけど・・・それは俺でもAでもない。