自分の部屋がほしい

718 :本当にあった怖い名無し:2010/02/27(土) 10:01:45 ID:HrZUxaTm0
じゃあ話題を変えよう

ある朝起きると、妹が執拗に「自分の部屋がほしい」と了両親にねだっていた。
当時、妹は一部屋を私と二人で使用していた。
お年頃かしら、とのんきに構えていたんだが、なんだかちょっと妹の様子がおかしい。
「そのうちね」という両親に「どうしても今すぐほしい」と引き下がらない。
なんでそんなに必死なのか気になったので、妹に理由を聞いてみた。
「おねえのせいなんだからね!」
え、なんで私のせい?と思ったら、どうやら私の寝言が原因らしい。

今もそうだけど、自分は寝言がひどい。
ある夜はハンプティ・ダンプティの歌をめちゃくちゃ高速で歌ったりだとか、
またある夜は、「いらっしゃいませ!」と言いながら、布団の上で寝たまま
お辞儀を繰り返したりだとか、まあ、本当にひどい。

当時、妹と私は二段ベッドを使用していた。
ふと妹が夜目覚めると、二段ベッドの上段からなにやらぶつぶつと聞こえる。
またおねえの寝言か。と思い、寝言をぼんやり聞いていると、
なんだかいつもの寝言と様子がちがう。
明らかに中学生の女子のものとは思えない、地の底を這うような低い声だったそうだ。
飛び起きた妹は、あわてて二段ベッドの上段を確認した。
幸い、変質者がそこにいた、なんてことはなく、すやすや気持ちよさそうに寝る
私がいた。ただ、口だけはもごもご動いてたらしいけど。
どこからこんな声が出てるんだ、と疑問に思いつつも妹は寝言の内容が気になり、
じっと耳を澄ましたんだそうな。そしたら。

「この部屋は呪われている。お前はまだ間に合う、早く逃げろ」

こう、壊れたラジオのように何度も繰り返していたらしい。
すっかりビビってしまった妹は、眠れぬまま朝を迎え、
部屋の移動を両親にねだったのだという。
「憑依されてたんじゃない?まじで怖かった」
というか、そんな怖い部屋に姉ひとり置いてくなよ、と。

ちなみに今もその部屋を使用しているが、寝ていてたまに金縛りにあったりだとか、
夕方の決まった時間に誰もいないはずのその部屋から物音が聞こえたりだとか、
飾ってある人形の顔の角度がいつの間にか変わっていたりだとかする以外は、
特に変わったこともなく、快適に使用している。

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