鍋で炊いたご飯の美味しさ

501 :本当にあった怖い名無し:2009/09/08(火) 21:19:59 ID:vjpDjKjA0
鍋で炊いたご飯の美味しさに目覚めた。
もちもちツヤツヤで甘く、その上おコゲまで出来るとあれば
炊飯器の出番が無くなるのも当然の事だろう。
その日も美味しく夕飯を終えたのだが、困ったことになっていた。
調子に乗ってご飯を炊き過ぎてしまった。鍋には保温機能はない。
さてどうするかとしばし悩み、結局シンプルに夜食用のおむすびにする事にした。
まだ暖かいご飯に沖縄から取り寄せた粗塩をまぶしながら握り、
せっかくだからと取って置きの海苔を巻く。
ちょっと大振りのおむすびが4つ皿の上に並んだ。
さっき夕飯を済ませたばかりだと言うのに我慢出来ず、一つつまみ食い。
甘みのある塩が効いてとても美味しい。夜食の時間が今から楽しみだ。
皿にラップをかけキッチンのテーブルに起き、自室へ戻った。

日付が変わり小腹が空いた頃にワクワクしながらキッチンへと向かう。
お茶をいれ、いただきますと手を合わせてからおむすびにかぶりついた。
むぐ…咀嚼する顎の動きが止まる。何だこれは?
味がしない。
いや、確かに味はあるのだが何だかとてもぼやけた感じ。
ご飯はぼそぼそで甘みは無く、たっぷり効かせた塩気も薄い。
海苔の香りはすっかり消え失せていた。
時間が経ったとか言うレベルではない程の味の劣化に愕然としながらも
残ったおむすびをモソモソと食べ終えた。
こんな筈ではなかったんだけどなぁと思いながらふと思い出す。
一人暮らしが長いのですっかり忘れていたが、その日はちょうどお盆の最中だった。
なるほど、通りすがりのどなたかが召し上がったのか。
そう思うとちょっとほんのりした。

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