母方の祖母の家

577 :本当にあった怖い名無し:2009/07/26(日) 12:31:39 ID:xKtyJjZs0
自分が小さい頃の体験。

小学校低学年の頃まで、夏休みには母方の祖母の家に泊まりがけで遊びにいくのが毎年の恒例だった。
当時その辺りは隣家から隣家までは数十メートルおきというド田舎。
祖母の家庭は叔父叔母イトコも数人同居の大家族だったが大人達が仕事に行っている間、残る子供達はといえば、
二つ年上の姉を筆頭に自分と年齢近い者同士数人で魚採りに川行ったり虫採りに裏山行ったりにて
食事と寝る時以外までほぼ丸一日家に帰らず遊びほうけても何らお咎めなしという、
まぁ何ともおおらかな時代だった。

で、その家の生け垣で囲まれた中庭も程々の広さある草地だったのを幸い、
時にはそこに中古登山用A型テント(フライシート無し)設営し、キャンプの真似事なんかまでしてた訳。
飯ごう炊さんで夕食済ませた後、日も暮れ大人達が母屋の木製雨戸を締める音が聞こえてくれば、
後はテントにもぐり込んだ子供達にとってはまさに自分達だけの世界。
(とは言ってもテント~母屋間の距離約3m。母屋側の住人にしてみれば、ちょっと大きな声や物音立てればまる聞えの距離だった訳だがw)
それでも子供ONLYのお泊まり感覚にワクワクするままお決まりの怪談話大会の後、さてそろそろ寝るか…となったその時、
突然テントの外から「ガサガサガサッ」という音が聞こえて来た。

え、今のナニ!?と皆思う間もなく今度は反対側から「ガサガサガサッ!」
…誰か、もしくは何かがテント壁を引っ掻いている。テント中の方が明るい以上、
全体の姿は見えなかったが生地を滑る数本の指先の形は内側からはっきり見えた。
リーダー格の姉が「誰!」と誰何しても何ら声はなく「ガサガサガサッ!」
そして、それを最後に辺りは静寂。

次の瞬間、急に暗闇の中に子供達だけで取り残されている感覚に陥った我々は心細さと怖さでパニック状態。
その絶叫群に何事かと母屋の祖母達が雨戸を開けるのとほぼ同時、涙目テント組は集団で飛び出していたが、
その時には既に中庭には誰かがいた形跡は無かった。

大人達も集まって来たが、結局その物音については結局、当時祖母の家に同居していた叔母が
こっそり夜中にイタズラに来たという事にてカタはつけられた。
祖母は数年前に亡くなったが、今でも親戚でその家に集まる度にあの出来事は、
「みんな怪談話しすぎて、叔母さんがちょっと驚かしただけで泣き出しちゃってねぇ」と思い出の笑い話になっている。

ただ、当時の記憶の中で未だに自分が少しひっかかっている会話がある。
事件直後、恐怖さめやらず泣きわめく子供達を叔父叔母達が宥めている中庭の片隅で、
イタズラの首謀者とされてる叔母が小声で「なんで私がやった事にせにゃならんの」と不満げに呟いたのに向かって、
祖母が言った言葉「その方がええ。その方が、孫達は未だ怖がらずに済むんや…」

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