ボロボロの橋の上に女性が立っていた

329 :本当にあった怖い名無し:2009/07/20(月) 04:03:42 ID:mdXmt6gP0
学生時代の友人と久しぶりに会ったので、お互いのバイクを見せ合ってから、
軽くツーリングにでも出かけようかという話になった。
海でも見に行くかということで田舎道を走っているうちに、
林道入口の看板を発見。面白そうなので早速そこへ入って行くことに…。
しばらく進むとひび割れたアスファルトから雑草が顔を出しているような寂しげな道になってきて、
落ち葉やワダチなどを見ているとどうも最近車が入った形跡が無い。
道の上には辛うじて「山火事注意」と読める朽ち果てそうな横断幕が木に括りつけられている。
パンクや転倒が心配になり、かなりスピードを落としながらノロノロと進む。
出口があるのか心配になり始めた頃、ふと前を見るとボロボロの橋の上に女性が立っていた。
時間帯はまだ16時から17時頃で十分明るいのだが、
こんな林道に女性が一人で立っているのは異常な雰囲気だ。
俺は慌ててブレーキを掛けると後ろの友人に目で合図を送った。
友人もヘルメットのバイザーを上げてその女性の様子を凝視する。
女性はこちらに背を向けた状態で微動だにせず、橋の欄干に両手を乗せて下の方を眺めている。
水色と白の横縞模様のサマーセーターを身につけ、ふわりとした白っぽいスカートを履いている。
髪は黒くてツヤがあり、肩にかかるかどうかという長さだった。
橋は右の方へ伸びていて、俺達がいる位置からは全貌が見通せない。
その橋の先には歩いて行ける範囲に家などがあるのかもしれない。
とりあえず振り向いてもう一度友人に目で合図を送り、先へ進むことにした。
その直後に再び橋を見ると、今までハッキリと見えていた女性の姿が忽然と消えている。
俺は「えっ!」と思わず声が漏れてしまった。
慌てて友人の方を振り向くと、友人も目を見開いて驚愕の表情を浮かべている。
もしかしたら橋の欄干から下へ誤って落ちたのかもしれない。
慌ててバイクのギアを入れ、ボロボロの橋まで近寄るとバイクを降りて欄干に近寄った。
そのままの勢いで橋の下を覗き込む。

5m程度の高さがあり、下には底の浅い透明な小川が流れていた。
しかし女性の姿は見当たらない。
嫌な感じがして橋の反対側の欄干に駆け寄ってそこから下を見てみたが、
やはり今目の前にいた女性は見当たらなかった。
ぐるっとまわりを見回してもほんの一瞬で隠れられそうな場所はない。
道は切り立った崖と見通しの良い林と川だけで構成されていた。
それを確認するとゾワゾワとした嫌な感覚が背筋を掛け抜ける。
友人に「今、女の人が立ってたよな? お前も見たよな?」と確認したが、
間違いなくこの場所に立っていたという。
自分が見たものが信じられなくなったが、なるべく早くこの場を離れた方が良いような気がした。
そしてバイクに跨り橋を渡りきると少し古ぼけた看板が掛けられている。
どうやら自分達は看板の裏側から近付いて来たようだ。
そこで看板を通り過ぎてから首を捻って書かれている内容を確認する。
正確な内容は忘れてしまったが、大体以下のような感じの事が書かれていたと思う。

「平成○年○月○日早朝、この場所で下記の特徴を有する女性の遺体の一部が発見されました。
 この付近で不審な人物・車両等を目撃された方は○県警までご連絡ください。
  一、年齢23歳
  二、身長160cm前後
  三、黒くてやや長めの頭髪
  四、白のブラウス、水色と白の横縞模様のセーター
  五、薄いグレーのひざ丈までのスカート
  六、白い靴下」

この看板の下にはペットボトルの飲み物や缶詰、枯れ果てた花束などが備えられていた。

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