背後霊でわかるよ。

163 :1:2009/03/24(火) 07:27:12 ID:yIL9P9iAO

「お兄さん、若づくりだけど老けてるね。36でしょ?」
何なんだこいつは。
「フロントに行ってチェンジしようとか思ってる?」
ジョジョかお前は。
「まぁ、上がって。」
呆然と立ち尽くす俺に、やる気の欠片もないソープ嬢が入室を促す。
「脱いで。」
黙々と服を脱ぎ、カゴに入れる。
「さっきの」
「年齢?背後霊でわかるよ。」
頭がくらくらしてきた。
こんな奴はネタにしかいない。
うん、夢見てるんだな。
「馬鹿に」
「お兄さんさぁ。2人も連れてきちゃ駄目。」
はぁ?
「恋人連れてくんなって言ってる。」
「やりづらいでしょ。まぁいいけど。」
後ろを見てみる。
何もない。
ははーん。時間稼ぎだな。
「早くお風呂入りなよ。」
どうでもいいが何で上から目線なんだよ。
「…早いね。ベッドでする?」
いえ、もういいです。
気持ち良かった。
でも恥ずかしかった。

「綺麗な人。少し気後れする。」
無言の時間が続き、耐えきれなくなって聞いてみる。
「あんた誰。」
「ただのソープ嬢。」
「背後霊で年がわかるって何。」
「電池みたいなもん。」
訳がわからん。
「来月は墓参り行きなよ?」
こいつは興信所の回しものか何かか?
もしくは新手のストーカー?
「気味悪いって顔してる。」
当たり前だろアホか。
「お兄さんの連れがあんまり美人だから、意地悪したくなったのよ。」
もう俺の理解の範囲を超えた。
電話が鳴る。
「時間。」
手をヒラヒラさせる。
財布を取出し払う。
「じゃあね。ありがとう」
手を振る先が俺の肩ごしに見えた。

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