電話屋

488 :電話屋1:2008/10/21(火) 02:56:51 ID:4iBkhchyO
私、電話営業の仕事をしています。
化粧品とか健康食品とかのセールス電話かかってきたこと、ありませんか?
そうです、アレです。私はアレで生計をたててます。
最近はオレオレ詐欺だのカニカニ詐欺だの色々あるんで、知らない人からの電話一本で買い物する客なんかいるの?と思うでしょうが、それなりに商売になるもんです。
もちろん私の仕事は詐欺でもなんでもなく、まともな商品をまともな値段で商談するまともな営業です。
あ、ちなみにオバケ的な話ではないですし、私が感じた範囲での恐怖なんでガクブルの保証はしません。あしからズ。

どちらかというと、お年寄りを相手にすることが多い仕事です。
いざ、商談成立で商品を送っても、注文したこと自体を覚えてないとか、
「電話に出たのボケてるばあちゃんだから注文取り消して」みたいな理由で、受け取り拒否されることは珍しくありません。
ある日の夕方、事務所に配送業者から受け取り拒否の報告Faxが送信されてきました。
拒否理由は、「本人死亡のため」となっていました。
これは初めてのケースだなぁ、と思いながら業者に電話で確認をとってみました。
ドライバーから折り返し電話させるってことで、一旦切電。

ほどなく若いドライバーのお兄さんから電話がありました。
私「拒否理由が本人死亡ってことですけど?」
ド「あ、はい。部屋まで行って○○(客のフルネーム)さんにお届け物です、って言ったら、その人死にましたよって。玄関もあけてくれないんですよ」
私「はぁ。家族のかたとかではなくて?」
ド「それで団地だったんで管理人さんに聞いたんですよ。○号室の○○さんっていますかって。そしたら、やっぱり、その人なら死にましたよって」
私「○○さんはすでに死んでて○号室には、違う人が住んでるってことですか??」
ド「たぶん。電話してみたんですが誰も出ないですし…」

と言われても、○○さんに電話し商談したのはほんの3日前です。
確かに声はおばあさんでしたが、亡くなったとしても3日で住人まで変わらないでしょう。
もちろん住所や宛名は○○さんに確認した通りです。
じゃあコチラから電話してみますので、というとドライバーさんはホッとしたようでイソイソと電話を切ってしまいました。
夕闇迫る小さい事務所で、○○さんに電話する私。さすがにドキドキしました。

あああいつか聞いた怪談みたいに3日前には繋がっていた電話番号が現在使われておりませんになってたらどうしよう…
なんて妄想しながら。

「もすもす?」
電話はあっけなく○○さんに繋りました。あの時のおばあさん。
私「あ、××(会社名)の×(私)ですけど。今日、荷物届きませんでしたか?」
○「いんや、まだ来てないよ?」
私「あの~○○(フルネーム)さん宛で。配送の者が○○さんはいないって帰されたらしいんですが…」
○「あぁ!あの人そうだったのかい!死んだダンナの名前言うて悪戯するもんがおったから追い返してやったんだども!」

…ちなみにダンナの名前で荷物送るよう言ったのは、おばあさん本人なんですけどね。
ていうかドライバーちゃんと確認しやがれ。
翌日、商品は○○さん宅に無事再送されましたとさ。

もうひとつ、違う意味でゾっとしたことがありました。

その日、いつも通り営業電話をしていました。
リストの中にちょっと珍しい名字のお客様がいました。

顧客のリストっていうのがあって、そのリストを見ながら電話するんですが、会社の顧客であって、私の顧客ではないことがほとんど、
というか初見のリストの場合は全員知らない顧客なので、名前の読み方も分からないまま電話→会話終了なんてザラです。
商品説明すらさせて貰えず電話を切られることが多いので、名前は商談成立した時に確認出来ればいい、ていう感じです。
で、そのお客さん、●●さんにも気にせずTEL。
落ち着いた感じの年配の男性が電話に出ました。
掴みとして、「こんな商品が××円でお買い得なのですが、興味ございませんか?」みたいなトークをしてみます。
電話のむこうの●●さんは、愛想笑いで返してくる、「ちょっと話してみないとどっちに転がるか分からない」タイプの客でした。
結局、●●さんは、その商品にとても詳しい、いわゆる「通」というわけでもなく、質問魔でもなく、
淡々と話を聞いて、じゃあ買ってみようかな、とヤンワリ即決する、私たちに言わせると一番やりやすいタイプの客でした。
順調に話は進み、名前と住所の確認です。

私「確認ですけど、名字は●●様…の読み方で間違いありませんか?」
●「えぇ、いいですよ」
私「下のお名前が女性名になっていますが…」
●「そのままでかまいませんよ」
私「では●●様宛で」●「はい、結構です」私「ご住所は△△…でお変わりないですか?」
●「ええ、そうですね」
私「番地が△△になっていますが枝番号は…」
●「それて届きますよ」
と、着日、支払い方法を確認して商談終了。
あとは忘れてしまうような、普通の商談のひとつでした。
で、着日です。
頼んでもいない商品が届いたと●●様から電話が。
電話を代わると、あの日話した年配の男性より若い感じの、威勢のよい男性でした。
私「○月○日の○時頃電話で話した者ですが…覚えてらっしゃいませんか?」
●「それ俺じゃないだろ?全っ然覚えてない」
私「男性の方だったのですが…ご家族のかたもご注文されたかたはいらっしゃいませんか?」
●「妻と二人なんで、ないよ。」
私「△△の●●様ですよね?」
●「そうだよ。だいたいなんで住所知ってるの?電話したって言うけど番号どこで知ったの?」

私「以前、当社でお買い物されたお客様に電話していますが…。ちなみに、お電話番号は▲▲…ですか?」
●「今は違うよ。昔その番号だったけど。」
私「え、じゃあ●●様の昔の番号を、今使ってる他人に繋がったってことですか?」
●「知らないけど、そうなんじゃないの?住所はなんで分かったの?」
私「こちらにお客様の住所が残っていたので、私が読み上げるかたちで確認したのですが…」
●「ちょっとやめてよ!じゃあ他人に俺んちの名前と住所ベラベラ喋ったってこと!?」

とまぁ、結局クレームになり私で対処しきれず、上司が対応したのでその後のことは分かりません。
確かに、個人情報を迂濶に口したのはこちらに非があるってことで、この件以来マニュアル改訂になったりしたのですが…。

私があのとき電話で話した●●さん、いや、●●さんの旧電話番号を使用していた年配男性は、
買ったことも興味もない商品の話をウンウンと聞き、
他人の名前や住所を言われても平然と返事をし、
着日や支払い方法までも指定して、
電話の向こうではどんな顔をしながら話していたんだろうと考えると、
なんだか不気味な出来事でした。

以上が、電話営業で体験したほんのり怖い話です。
怖くない上に長文すみませんでした。

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