曲を探してるんです

749 :本当にあった怖い名無し:2008/09/08(月) 12:11:12 ID:8m5Rxa9Z0
カラオケ屋のフロントで働いていた時の事

若い女性客が一人だけで来店した。
一人だけの客は珍しくない。大抵密かに練習しにくるのだ。ただ他と違うのはかなりせて青白く、節目で目を合わそうとしなかった。ちょっと怪しげだなとは思ったけど、まぁでも、普通にお客様なので普通に部屋へ通す。
この時は平日の昼間、開店まもない。いつも客入りが少ないので店員はおれひとりだけだ。
清掃も点検も終えて、ゆったりとテレビを見てると、ピロロロと内線が鳴った。

「はい、フロントです」
「あの、***号室ですが曲を探してるんです。しらべていただけますか。」
「はい、分かりました。曲名は?」
「中森明菜の○○○」
「はい、少々お待ちください。・・・・・。えー申し訳ございません。その曲は入っていません。」
「なんで!あるでしょ!どうして!」
「いやぁ、リストに無いものは、ちょっと・・・」
「・・・さがして

さがして!さがして!さがしてください!おねがいます!

おねがいします!おねがいします!だめになります!くるしくなるから!

たすけてください!わたしその曲を歌わないと

死んでしまうんです!!! ギャーーーーーー      」

ゾッとして自分が何を言ったかあまりおぼえてない。なんか誤魔化してうまく言いくるめたようだ。

退室時間になると、なにくわぬ顔で料金を払いでていった。
もっと暴れたりするのかなと身構えていたので,ホッとしたけど
でも、ごく普通に帰れるのが逆に異常に思えた。

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