先客

499 :本当にあった怖い名無し:2008/09/02(火) 21:07:23 ID:I6sVCxsL0
うちの現代文のI先生は時折授業が面倒くさくなる悪い癖が
ありまして、この前、夏だと言うことで生徒のリクエストで
怖い話を何個か教えて下さったのでご紹介。

S幌市、N高校前の国道×号線。
山を突っ切って走っているこの道路、新しく整備されるまでは
それこそ峠の山道と言った感じのくねくねした道だったそうで、
冬場なんかにはよく大きな事故も起こっていたとか。
その山の上に、先生は20年くらい前にボランティアに行っていた
孤児院みたいな施設がありまして、(今もあるのかな?)
お昼には近くの小さなおそば屋さんに、よく職員の方に連れて行って
もらったそうです。
そのおそば屋さんでのお話。
ある冬の寒い日、お店に入ると、その日は珍しく先客がいたそうです。
目の前の二人がけのテーブルにお水の入ったコップがぽん、と二つ載っていて、
吸いさしのたばこが一本、灰皿の中で青煙をあげていました。
お客の姿は見えません。
でもコップに手がつけられた形跡がなかったので、もう出て行った客のものと
いうわけではなさそうです。
「あれ、そこの席のお客さんどうされました?」
ふと店の奥から出てきたおかみさんに尋ねられ、先生はふと気づきました。
先生たちが来たとき、駐車場には車もバイクも止まっていなかったのです。
前述したとおり車じゃなきゃ来れないような山の中で、周りに人家もないのに。
そのお客はどこからどうやって店に来たのか。
そこまで考えたとき、後ろで車のエンジン音がしたそうです。
店を出てみると、先生たちの車のものではない真新しいタイヤの跡が
一筋、雪の上を走っていたそうです。なんともつかみ所のないお話。

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