勝手口から出て行く学生服の少年

337 :本当にあった怖い名無し:2008/08/01(金) 12:59:17 ID:nsH3LDwh0
もう20年も前だけど、板前をしていた頃の話です。
自分が早朝、誰も来ていない調理場で仕込みをしていると、
バンッと勝手口から出て行く学生服の少年が一人。
唐突に斜め後ろの勝手口が開いたので、ちょっとビックリしました。
その子は、背格好は自分と同じくらい。
学生カバンも学ランも自分の中学時代と同系でした。
作業をしていた場所は、勝手口へ通じる板場の出入り口付近で、
2階の旦那宅入り口から勝手口までは、必ずその板場を通らなければいけない…
でも、その子は唐突に勝手口を開け外に…後姿しか見えませんでした。
まあ、自分が仕事に没頭してて横切ったことに気付かなかっただけかもしれないけどね。
この時間は出入り口が勝手口しかないから。

で、ずいぶん早い時間に面接をするんだな・・
でも、挨拶も出来ないんじゃ面接通らんだろ。
とか面接に来た学生さんが帰っただけだろうと思って作業を続ける自分。

数時間して旦那が2階の住まいから降りてきた。
「こんな早朝から新人さんが面接に来てたんですね。」何気なく聞くと…
旦那「なに言ってんだ、こんな朝早くお前以外に誰も来るはずないだろ。」
自分「あ、そうですか…」
釈然としないまま作業する自分。

今にして思うと、あの後姿は・・
その時期、学生に憧れてた自分が作り出した幻だったのかも知れません。

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