誰か来たんじゃない?

268 :本当にあった怖い名無し:2008/07/28(月) 23:42:12 ID:iZ0g0a5k0
>>265
家族と同じモノを見る(聞く)って、ドキッとしますよね。

私のも小学生のときの話です。
夏のある夜。7時ごろ、母が美容院の予約が取れたとかで家を出ました。残ったのは父と私と妹2人。
父は小さかった妹たちをお風呂に入れていました。私は台所で、できるところまでの晩ご飯の支度をしていました。
台所はドアも何もなく廊下に通じています。その先は玄関。なんとなく玄関が気になって、何度も後ろを振り返ったのを鮮明に覚えています。

父と妹がお風呂から上がり、隣りの居間でテレビを見始めました。私は入れ替わりに風呂を済ませ、すぐに出ました。
母はまだ帰ってきません。

テレビでは賑やかな番組をやっていたと思います。でも、誰も笑うでもなく、目だけが画面に張り付いてる…という印象を受けました。
私も、顔だけはテレビに向けながら、違う音に集中していました。…玄関から2人のおばさんの話す声がずっと聞こえてたんです。
「誰か来たんじゃない?」
努めて明るく、父にそう言ってみました。でも、父は返事もしません。妹の顔を見ると、泣きそうになっていました。

その声は、やがて廊下に上って来ました。少し進んではまた玄関に戻る、という感じを繰り返してるんです。
呻くでもなく、嗚咽するでもなく、ただ噂話でもしているかのようにやかましいの。

ずっと続いていた声は、母が帰ったとたん、ぴたりと止みました。
「遅くなってごめんねっ」と慌ててエプロンをつける母に、泣きながらすがる妹たち。
困惑した様子の母に、父が言いました。「今晩は気味の悪い夜だったよ」
玄関を見ると、戸が全開で開いています。母に「戸、閉めてきていい?」と聞くと、母は、また首をかしげながら言いました。
「え?玄関なら、ちゃんと閉めて鍵かけてきたよ」

その日以来、家の中では不思議なことは起きませんでしたけどね。
通り魔ならぬ通り霊かな。

前の話へ

次の話へ