人魂を見た

904 :本当にあった怖い名無し:2008/07/16(水) 03:32:26 ID:cgEx6Sp5O
寝れないから書いておこうw

俺は人魂を見た。
もしかしたらあれは人魂じゃなかったのかもしれないが、じゃあ何だったんだというと説明できない。

俺の地元はS県の北にある。解る人には解るかもだけど、秀吉が柴田勝家と戦った街。

中学3年の初夏だったと思う。俺は隣街にある学習塾に通っていて、その日は友人のIと一緒に帰っていた。
時刻は9時過ぎ、街の中心街を出ると街灯も無い真っ暗闇の田んぼ道が続く。
満天の星空の下、俺らは自分の街へと自転車を漕いだ。

「なぁ、あれ何やろ?」Iが何かを見つけた。
隣の田んぼ道を何か光が駆けている。
隣といっても数百メートルは離れているからよく見えないが、その異質さは際立っていた。
一般的なヘッドライトの白色ではない。何か赤系の色。
動きも変だ。光の高さは変わらず、振り子のようにブンブン揺れながら前方移動してる感じ。
そんな動きをする照明器具があるだろうか。

その光は俺たちと平行移動していたが、田んぼの中の十字路で曲がったらしく、横に移動してきた。
その道はやがて俺たちの居る道にも合流する………まさか…
「…こっちに来る気か?」
俺とIは顔を見合せ、そこから一目散にチャリをぶっ飛ばして逃げた。
田んぼの中の小川(農業用水)の橋を超え、ようやく街へたどり着く手前で振り返ってみると、その光は小川のほとりにある柳の木の辺りで飛んだり跳ねたりして動けない様子だった。

Iはその後その話を一切しなかった。以後、俺たちがその道を夜通ることは決して無かった。

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