白い制服を着た英霊

277: 本当にあった怖い名無し 2005/06/13(月) 00:54:58 ID:aW+qIJUR0
そんなに遠いむかしではないこと。
マラッカ海峡を夜航行していた日本の貨物船が海賊の快速船にねらわれてしまった。
積み荷を積んだ貨物船、いくら頑張っても速度差はいかんともしがたく、ついにもう夜目にも見えるところまで近づいてきた。
このままでは横付けされ、乗り移られてしまう、積み荷と船は奪われ、乗組員は人質に取られて身代金と引き替えになるまで虜の生活だ。
放水銃(消火用)を放ちながらなんとか近寄られないように操船をつづけていると、後方からもう一つの船影が近づいてくる。
急速に近づいてくるその船はどうやら軍艦か沿岸警備隊のものらしく、砲を装備しているのが見える。
軍艦は海賊船と貨物船の間に割り込んで海賊船を牽制する。 海賊船はあきらめて方向転換すると消えていった。
そのときにはもう夜明けが近く、その軍艦は遠ざかりはじめた。見ると白い制服を着た乗組員達が帽子持った手を大きく振っている。
よくよくその軍艦を見ると、どうもかなり古い型の軍艦で、普段見かけないもの。水平線の向うから太陽の光が差しはじめ、
遠ざかる船の艦尾にはためいていた旗を照らし出した。 旭日旗だった。 軍艦の影は朝日の中にとけ込むように薄れて消えていった。
後で調べてみるとその軍艦は旧海軍の駆逐艦に似ていたという。

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