ユタ(沖縄のイタコのような存在)の孫

919 :本当にあった怖い名無し:2008/06/07(土) 19:32:50 ID:QF0C1rIO0
中学生の頃の友人に、ユタ(沖縄のイタコのような存在)の孫だというヤツがいた。
普通ユタの能力的なものは女の子にしか受け継がれないが、自分は少し受け継いでいるため変なものが見えると言っていた。
あまり信じていなかったが、そいつとは結構仲が良かった。
あるテスト前の夜のこと、俺は数学で全然分からないところがあってそいつに電話を掛けた。
当時携帯電話なんてなく、コードレスでもなかったから、自宅の固定電話から。
うちはリビングの入り口脇に固定電話が置いてあって、夜電話する時は大体リビングのイスを持ってきて座っていた。
リビングの入り口はすりガラスが全面に張ってあるドアで、その向こうはトイレと風呂場と玄関。だから誰か起きてきたら分かるように、入り口のドアに背を向けるような感じで座り込んでいたと思う。

で、まぁ実際勉強の話なんてちょっとしかしないで、どうでもいい事に進んでいって、それで盛り上がっていた。
そんな中、そいつがそのバカ話のノリで
「お前、誰がきても絶対ドア開けんなよ」
と言い出した。ハァ?と思ってると続けて
「お前んち、家の中にガラスのドアあるだろ?今から誰か来ても絶対開けるなよ」
と言う。実に軽いノリで。異様さとか一切感じさせない言い方だったので、頭のおかしいやつ、と思ってそれでも話続けていた。

それから少し経ったころだった。突然、俺の真後ろからノックの音が聞こえてきた。コンコンッって。
玄関ノックされても音がここまで聞こえるわけもないし、明らかにリビングのドアがノックされている。
でも、前述の通りリビングのドアはガラスの嵌ったドアなわけ。見えるはずなんだよね、誰かがそこにいたら。でも姿は見えない。
気のせいと思い込もうとしたけど、そう思ったらすぐコンコンってすんの。もう絶対にリビングのドア叩いている。見えない誰かが。
すると電話の向こうで友達が
「おい、誰か来てもドア開けんなよー」
と再度言ってきた。ドアのノックは続いている。それを聞いた瞬間、俺恐怖MAX。受話器放り投げて2階の自室に猛ダッシュで戻って無理やり寝た。

翌朝、リビングは特別変わった様子も無く、受話器放置だったことを両親にしこたま怒られて学校へ行った。
友人に昨夜の話をすると、実にあっさりと
「開けるなって言ったじゃん。来るの分かってたもん」
とだけ答えてくれた。
おかげでいまだにアレがなんだったのかは分からないが、あの時以来、友人と夜電話をすることは無くなった。

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