東北のある海でのお話

758: 本当にあった怖い名無し 04/12/01 16:14:54 ID:QH0pOflu
海の中で 彼女は 言った
「私の肉を 食べて頂戴」
柔らかい 胸の肉 と決めた
黒い 深い 海の中 大きな顔が そこには あった
「臭くて 鼻がまがる」「ニチャニチャと歯につまる」

「そうだ 体を開き 焼いてしまえ」

長い事 海にいると 人が恋しくなる

むき出しになった 体に 潮風がしみる
「おお いやだいやだ 酷い匂いだ」
「失敗だ 潮風で 皮膚が逆立ってしまった」

左右に 引き裂かれた その目で 私は見た

怯える 妹 に 男達
「子供と やってみたかった」
「そうら もがけ 締まりが良くなるぞ」
「おねいちゃん こわい」
「そら さっさと済ませろ」

「おねいちゃん 助けて おねいちゃん おねいちゃん」
「こりゃあ たまらん 良い具合 だ」

涙を流す 大きな顔が 口を開ける
男 女 すべての者が 飲み込まれる

男は底へ 女は 陸へ
「わたくしの体も 元通り でしたの」

東北の ある海での お話
こんで えんつこ もんつこ さげだどや

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