自ら甕に入り身体を捧げた僧

501 :本当にあった怖い名無し:2008/04/02(水) 23:03:13 ID:SapmABeHO

耳が聴こえぬ旅の僧が、山中不思議な声を聴く。
モツゴ止めなば、崩れができぬ。崩れできなば、川が死ぬ。
不可思議な山中一夜を抜け、山間寂村に僧は辿り着く。
陰陰滅滅たる山村の空気を不審がり、僧村人に問わば、蛇神幾度となく暴れ山崩れが起き、人死田畑荒廃甚だ酷し。
僧はたと手を打ち、村人の為、我が贄となり山神鎮めん。僧山崩れの起きる斜面に甕を埋め中で読経せむ。
その後、山崩れなし。


昭和。戦争末期。北国寒村。土中より甕に入った人骨が見つかる。村人は僧の伝説は本当であったと驚き懃に弔う。
だが。
甕は小さく、体をねじまげても、入らない。骨をへし折られ、頭を下に人骨は埋められていた。
自ら甕に入り身体を捧げた僧がこのような姿になるであろうか。
近在の村では童謡が伝わる。
おんの坊主をとらまいて、三匹の猿が穴にて虐す。逆さま坊主え猿笑い。蛇抜けモツゴえ猿笑い。おんの坊主をとらまいて。モツゴせんとて猿狂い。

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