障害者支援施設

936本当にあった怖い名無し2021/06/17(木) 01:49:18.70ID:RonpzcYH0
自分は障害者支援施設という障害者の生活を支える仕事をしています。
障害者と聞くと関わりのない方は大変そうと感じるかもしれませんが
慣れると利用者の方がトラブルを起こすことなく基本的に見守りをするだけなので個人的には楽な仕事です。

施設ということで業務に夜勤があるのですが皆さんが寝静まった後は
1時間に一回ほどの見回りと雑務だけなのでスマホをいじったり個人的なことを待機部屋でしていました。
そんな夜勤で起こった話です。
自分はいつも通り洗濯や日誌の記録と見回りを終え待機部屋でゴロゴロしていました。
少しうたた寝をしてしまいましたが物音で起きることになりました。

20分ほど寝ていたみたいで時計を確認すると午前1時を回っていました。
物音がすることは利用者の方が起きてトイレに行ったりなどよくあることですが一応確認をしに行きました。
そこはSさんという少々問題のある方の居室でした。

彼は自分の排泄物を撒き散らしたり食べてしまうことがあり医師の話ではこの状態が続けば長くはないということでした。
本来なら人手不足なうちではなく余裕のある施設で見るべき方なのですが
障害者は施設ではなく地域で暮らしていくのがあるべき姿という方針なため障害者の施設は少なく、
どこも受け入れが難しいためリスクはありますが仕方がなく受け入れていました。

排泄物が撒き散らされるとたまったもんじゃあないので急いで確認すると特に変わった様子もなく静かに寝息を立てていました。
安心して居室を出るとすぐ目の前に別の利用者のTさんとOさんが立っていました。
暗闇なので少しびっくりしましたが「どうしましたか?眠れないですか?」と聞きました。
二人とも自閉症や知的の特性がある方ですが言葉の理解はある程度できる方で
Tさんは本当は発語できるんですがジェスチャーで意思を伝えることができ、
Oさんは単語で自分の意思を伝えることができます。
Oさんは「Iさん、いた」というのですが利用者の中にIさんという方はおりません。
とりあえず話を続けてもらうために「Iさんについてきたの?」と問うとTさんが頷きましたが
当然私はそのような人は見ておりません。

続けてOさんが「心配」と口にしたのでどうしてと続きを施すと「Sさん」と言いました。
利用者が他の利用者を心配することは結構あるので「大丈夫だよ、ついさっき確認しましたから」と伝えIさんという人物は気になりましたが、
夜も遅いので二人には居室に戻ってもらおうと部屋の前まで誘導しました。
すると先程いたSさんの居室のあたりから足音が聞こえてきました。
もう一人の職員か他の利用者かなと思いましたがOさんは「Iさん」というのです。

少し恐怖を感じましたが不法侵入かもしれないため利用者の居室をできるとこだけ施錠し
後は足音がしたSさんのほうだけなため向かうことにしました。
するとまた足音がしており近づくにつれ独特な足音だとわかりました。
片足をひきづるような片足をで歩いているような音でした。
利用者の中に生まれつき足が曲がっているかたがいますが、その方は施錠した際に居室にいることを確認したため違います。
自分でも冷や汗が出ているのを感じていましたが仕事を放棄することはできないため不安ですが向かいました。
足音は突然消えましたが感覚的にSさんの位置で消えたと感じ、
Sさんの居室を確認できる位置まで来た時暗闇なためはっきりとは見えなかったのですが人影があることに気づきました。

やはり片足が不自由なのか普通の姿勢ではないように見えました。
しかし職員にも利用者にもそんな人はいないため確認するしかありません。
私と謎の影は20mほど離れていたためが大きめな声で「誰ですか!?」と聞きましたがSさんの居室の前で立ち止まったまま全く動きませんでした。
ふとOさんの言ったIさんのことを思い出し私はその人影に「Iさん?」と問いかけると
こちらを振り向いたように見え少しだけ表情が見えたのですがニヤっと笑っていたように感じます。
そのままSさんの居室にその人影は吸い込まれるように入っていきました。

私は見てしまったという感情がありましたがSさんが心配になり急いで確認に行きました。
しかし先程と変わらずすやすやと寝息を立てているだけで変化は見られませんでした。
気になるものの問題は起きていないし報告日誌に幽霊が出たなんて書くわけにもいかないので
もう一人の夜勤者のKさんに交代し2時間の睡眠休憩に入りました
少し疲れていたため直ぐに眠りにはつけましたが1時間ほど経って慌てた様子のKさんが私を起こしてきました。
「Sさんの脈がない!」その瞬間Iさんのことが脳裏に過りましたが
急いで確認に向うと脈がたしかになく、強烈に臭いため身体を確認すると手と口周りに排泄物が付着していました。
直ぐに救急車を呼びました。

そこからは色々な処理に追われて特に書くことはないのですが死因はやはり排泄物を口に含んだ窒息死でした。
しかし窒息の原因は自身の手で首を絞めたことによるものだそうです。
普段からSさんの介助をしていた私はSさんが自分で絞めるかなと疑問を浮かべながらも納得しました。
それからSさんの問題も落ち着き施設は通常通りに戻りました。

ある日の休憩中たまたま休憩が一緒になった施設ができた初期の頃からいる支援員Gさんに
あの夜勤で起きたことが未だに気になっていたので話してみました。
するとGさんは少し難しい顔でIさんは過去にこの施設に入所していた利用者だと教えてくれました。
そしてもうすでに亡くなっているとも。

なんでも古くからいるGさんと高齢な利用者しか知らないらしく
Gさん自体もIさんの霊なんて見たことはないとのこと。
ではどうしてIさんは亡くなったのか聞いてみたら窒息死でした。
同じ居室の利用者に首を絞められたそうです。
そしてそれが起こった部屋がSさんが暮らしていた居室でした。
そのことを話したGさんは休憩が終わったので業務に戻って行きました。

もしかしたらSさんを間違えてやったのかもと色々考えましたが
もう終わったことですから深く考えずそのことも忘れていたのですが
最近になって元々Sさんのいた居室のある棟を改築するみたいなので思い出し書きました。
あれ以降Iさんを見たという噂もありません。
思い出しつつかいたので文章適当なのはすみません。

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