覗きこむ女

238 :本当にあった怖い名無し:2012/08/05(日) 11:16:45.65 ID:A3wwAjre0
 大して怖い話でもないし、そもそも霊なのか何なのかすらもよくわからない。
長文になるが失礼させてもらいます。俺の家は戦争中に完成した、わりと古い部類に入る。
今、俺が使っている部屋、親父が使っていた部屋、そして祖父ちゃんが使っていた部屋は同じ。つまり長男が代々、勉強部屋なり書斎としてなり譲り受けたもの。
その部屋で親父と祖父ちゃんは変なものとコンニチハして、そいつを撃退しているらしい。

その変なものとは、窓のところで逆さまになって部屋の中をのぞき込んでくる(睨んでくる?)女性の頭。女性は一見、短髪に見えたがよく見ると髪が焼けただれた様になって頭皮に張り付いていたと。
件の部屋は2階だから外から普通の人間がのぞき込んできているということは考えにくい。
ちょうど机が窓のある壁にピッタリくっついていて、下に落としていた視線を上に向けると窓が真ん前に来る。そこにそんな生首が現れたら心臓に悪いことこの上ない。

元日本陸軍技官、当時は某電機メーカーで電子機器開発の研究員をやっていた祖父ちゃんは会社の仕事なのか個人研究なのか、ある夏、部屋(当時は書斎)で高圧電流を使う実験をしていたらしい。
ふと手を休めて網戸を張った窓に目をやるとその女性の頭が祖父ちゃんをジトォっと睨んでいた。
普通ならば驚いて悲鳴を上げる、後ろに後ずさるとかする。さすが祖父ちゃん、元軍人。
何を思ったのか手元にあった電極(ワニ口クリップみたいなやつだと思う)をその女性の頭にグイと押しつけたらしい。特に悲鳴やバチっという音はならなかったらしいが、その女性の頭は一瞬、ビクッとなって落ちていったらしい。
木に成っていた柿が屋根に落っこちてごろごろ転がるときと同じような音がしたらしい。

さて、次は親父。祖父ちゃんと同じく電気屋になった親父はある夏、件の部屋で半田ごてを使って電気工作をしていたらしい。
ふと手を休めて網戸を張った窓に目をやると件女性の頭が親父を凝視していた。
普通ならば驚いて悲鳴を上げる、後ろに後ずさるとかする。親父は祖父ちゃんからこの女性の生首の話を聞いていたからなのか、そこまで驚かず手元にあった熱した半田ごてをその女性の頭にグイと押しつけたらしい。
親父が言うに焼けてブスっ食い込む感じがしたけれど妙に感触が軽かったと。やっぱり女性の頭は落ちていったらしい。

親父と祖父ちゃん、その生首に遭遇したのは二人とも25歳の夏だったらしい。俺にもやってくるなら2年後。
残念ながら俺は親父は祖父ちゃんと違って電気屋じゃなくて化学屋になってしまった。俺は親父が祖父ちゃんみたいな電気技は使えない。
親父や祖父ちゃんが使っていた机の引き出しに塩基を入れておくか、酸を入れておくか、過酸化物を入れておくかにちょっと真面目に悩んでいる。

生首の出所についてだが。
俺の自宅は戦前からある某大手写真機製造社のすぐそばにある。単に一般用のカメラだけじゃなくて偵察機に搭載する航空写真機まで製造していたらしい。も ちろん学徒動員もされた。そして空襲も何度か酷いのがあって、一度、うちの近辺に遺体が散乱する事態になったらしい。
祖父ちゃんや近所に住んでいる高齢者の方はそれ以外に化けてでるような心当たりがないと言っている。

244 :本当にあった怖い名無し:2012/08/05(日) 11:22:25.06 ID:A3wwAjre0
これで終わりです。長文、失礼。

245 :本当にあった怖い名無し:2012/08/05(日) 12:06:25.28 ID:D//UU02D0
その生首が空襲の犠牲者だとしたら、
祖父さん親父さんの仕打ちはちと酷じゃないか?まあその辺の判断は君次第、2年後の報告を待つ。

246 :本当にあった怖い名無し:2012/08/05(日) 12:11:18.75 ID:tGulA8LH0
お祖父さんとお父さんの時代はクーラーなくて、窓とカーテン開けてたんだね。
でも、2年後の夏は窓とカーテン閉めてるだろうから大丈夫だよ。
カーテンから顔出して来たら、カナヅチでぶっ叩けば。

247 :本当にあった怖い名無し:2012/08/05(日) 12:25:46.56 ID:A3wwAjre0
>>245
俺もそう思うが、二人ともバリバリの理系。
そもそもそういった霊とかの類の存在を信じないと言うレベルを通り越して存在してはいけない、科学や技術を以てそういうのを撃退、解明することに正義があるって信じている。
俺は病院で研修したりする方面に行って、自分でおかしな雰囲気や気配に遭遇したりしたことあるから、そこまで霊的なものの存在は否定しないのだが。
うっかり二人の前でオカルト番組を見たり、病院で出るなんて話を少しでもすると馬鹿なことを言うなって罵倒される。
>>246
俺の部屋、エアコンないんだ、、、。

862 :1/2@\(^o^)/:2014/08/16(土) 14:51:40.14 ID:ssKLcoF80.net
一昨年、こちらに書き込ませていただいた話の続きです。
何のことか分からない方も多いと思われますが、失礼します。祖父、父、そして俺は代々、実家の2階にある部屋を書斎や学習部屋として受け継いでいる。
父と祖父はそこで25歳の夏に奇妙な物と遭遇した。
その奇妙な物とは、換気のために開けてある窓の外から部屋の中をのぞき込む焼け焦げた女の生首。
電気屋だった父と祖父はその生首と遭遇したときに、仕事や趣味で扱っていた半田ごてや電気ケーブルを押しつけて撃退してきた。
そしてついに件の生首が先日、俺の目の前にも出現した。
祖父、父の体験を再三にわたって聞かされてきた化学屋の俺は前々から有機溶媒でもぶっかけてやろうかと思っていた。結局の所、俺も祖父、父にならって撃退することとなったが、全く予想もしない方法となってしまった。
まず俺は極めてお酒に弱い。どの程度、弱いかというと消毒用霧吹きに入ったアルコールを吸い込むだけでへなへなとなるほど。
俺の酒に関する恥ずかしいエピソードは別の意味でホラーじみているがここでは割愛する。

生首が出現する日の前夜、俺は研究室の教官に無理矢理飲まされて、早朝に這うようにして帰宅した。
そして時折、洗面器の御世話になりながら窓を全開にして涼風を浴びていた。

窓際の机の上に突っ伏していると突然、首筋にヌチャっとした触感を感じた
スライムや血の様な感触というよりも、雑巾を首にかけれた感触に近かった。
頭痛を堪えながら目を上げると、そこにいたのはお約束ののぞき込む生首だった。
生首は窓枠に乗りかかっているのではなく、宙に浮く形で現れていた。

突然のコンニチハに動転した俺は奇妙な叫び声を上げた。
それが悪かった。

俺はその時、息を堪えるように二日酔いに堪えていた。
突然大きな声を出してしまったのが拙かったのか、それとも驚愕と緊張で胃腸が大きく動いたのか。
それをきっかけに堰を切ったかのように胃の内容物がこみ上げてきた。

内容物を書類の載った机の上に落とすわけにはいかない。生首の事などそっちのけで窓の外に自然と口が向いた。
そして放物線上に窓の外に放射された吐瀉物は生首を直撃した。
吐瀉物の半分は生首に直接かかり、残り半分は首を窓の外に出したので屋根瓦に直接落ちた。

嘔吐感が落ち着いた頃、ようやく俺は生首に再度注意を払えるようになった。
生首は怒っているようにも、泣きそうなのを無理矢理笑おうとしているようにも見えた。
さすがに酷いことをしたかなと思い、何か声をかけるべきかと考えたとき、生首はすとんと屋根に落ちゴロゴロと転がり落ちていった。
すぐに1階に降りて落着地点を見て回ったが特に生首の痕跡は発見できなかった。
結局、あとで見える形で残ったその出来事の遺物は屋根瓦上にぶちまけられた俺の胃の内容物だけだった。

この生首は俺の実家が潰されず残っている限り、俺の子孫の所にまた現れるかもしれない。
万が一、俺が結婚できるようなことがあったら是非、子供に伝えて撃退を指南しておこうと思う。
やはり心の準備ができていれば余裕を持って対処できるだろうから。

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