埼京線の女

425 :本当にあった怖い名無し:2012/08/15(水) 11:21:46.69 ID:AHAvlQBw0
もう12、3年前になるんだけど
埼京線池袋駅で電車を待っていた。時間にして午後8時頃。
大宮方面への電車で、ちょうど帰宅時間で、いつもなら何人かの
行列ができているはずなのに、その日は行列もなく、ほんと
今考えると、その時間の埼京線にしては異常なくらいホームで
電車を待っている人がいなかったように思う。
赤羽まで乗る予定で一番前の扉から乗ったんだけど
いつもなら混む先頭でさえ、その日の池袋から乗ったのは俺ともう1人、
25歳前後位のOL風との2人だけ。
おかしなことに到着した電車の中も座れはしなかったけれど、
その時間にしては空いていた。5,6人が立っている程度。
とりあえず電車に乗って出発。ところがその日の電車は
運転手が上手じゃなかったのか、いつもより揺れた。
大きく揺れたり小さく揺れたり。

そしてその度に立って乗っている俺たち乗客も揺れる。
そして困ったことに一緒に乗ったOL風の女が、揺れる度に
俺にぶつかる。俺もぶつかる度に距離をおいてみるのだが
また揺れると俺を狙っているかのようにぶつかってくる。
そのうちぶつかると言うより抱きついてくるような感じになった。
よく見るとどうもこの女、酒に酔っているみたいで、ちゃんと立てないようだ。
それならばと、ちょっとすけべ心になった俺は、あたかも知り合いだったように
その女の肩を抱くようにして支えてやった。
赤羽駅に到着。俺の降りる駅。女も降りる駅のようで、一緒に降りることになった。
ホームから改札までの階段を降りていると、一瞬だけ女がこっちを見て
ニヤッと笑みを浮かべた。そして突然早足になり階段を降り改札を通り出て行ってしまった。
酔ってたんじゃなかったのかと思いあっけにとられた俺。

そして俺は赤羽駅の近所の店で食事をした。店から出ると
目の前をさっきの女が歩いていた。何をしているんだろうと女をつけてみることに。
すると女は赤羽駅の周りをうろうろと行ったり来たりして
結局、帰ることにしたのかそのままだんだん駅から離れて行った。
その道は普段、俺の帰る道とではないけれど方向は同じなので
そのまま女の後を歩いた。それでも50メートル位距離は開けていた。
そして駅から離れだんだん人通りも少なくなったところで女が左に曲がった。
左に曲がったところまでは確かに女を見たんだけど
俺がその場所まで行くと、そこは大きな道路で
左の方は見通しもいい。ただ人が住むような建物はなかったし店もない。
でも女の姿がない。女が消えてしまった。そんなことあるわけないと思って
キョロキョロしていると、少し向こうの方の道路端に
いくつかの花束が置いてあるのが見えました。

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