林を縫う光

154 :<< コピペ4話目 1/2 >>:04/01/23 15:27
高校の山岳部で、飯豊連峰を縦走した。 
下山日に、高度を下げ最終宿泊地へと向かった。 
林の脇に川筋を見る細い道を進み、モッコ渡しを渡り、
(水面から十分な高度を取った)河原の一角の大きな木の根本に三張りの天幕を張り、幕営を始めた。 

夕食の準備と帰路の偵察を行い気分は最高。皆で歌を歌い大いに盛り上がった。 
時刻は9時前後。山行としては、かなり遅くまで騒いでいた事になる。 

残った食料を平らげ、さあ寝るかと準備を始めた時、OBの1人が不思議そうな顔をした。 
「どうしたんですか」と問いかけると、「遭難者かもしれない。静かにしろ」と言う。 
聞き耳を立てたが、川のせせらぎ以外に聞こえない。 
OBが見つめている先を追うと、懐中電灯の光が林を縫うように近づいてくる。 
ヘッドランプを付けた登山者と同じぐらいの高さを、林の木々に遮られながらモッコに近づいてくる。 
自分達は次に起こるであろう事を想像し、静まり返った。 

すると光が消え、あたりは漆黒に染まった。 
モッコ渡しは渡れば大きな音がする。異常があれば見に行き助ければいい。 
静寂の中、数分暗闇を見つめていた。

突然3年生が大きな木の梢を見つめ、「何だこれは」と叫んだ。 
全員が立ち上がり、彼の見つめる梢を眺めた。 
そこには、先ほど梢に隠れながら近づいてきた明かりが輝いていた。 
10mほどの高さに、かなり明るい光があった。 
懐中電灯を点灯し梢を照らすと、突然明かりが消えた。 
「何だ今のは」「化け物か」「何かの発光現象か」
「あれを見ろ」 
誰かの叫びが聞こえた。 
彼の指さす方向、川に沿って20mほど下流。
今迄梢で輝いていた光がそこにあった。 
光は凄い早さで川を下るように移動し、やがて見えなくなった。 
光の大きさは20cmほど、丁度ヘッドランプの光のような色だった。 

あれから随分時がたつが、あれが一体何だったのか未だに判らない。

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