変な友人A

友人Aの友人@特選怖い話:2022/02/06 20:30 ID:OU1q32hU

変な友人に関する変な話

特定避けのフェイクを色々入れるので、現実味無いと思うけどそこは容赦してほしい。

小学校からの友人がいて、そいつはいわゆるオカルトマニアって奴で、そいつと俺たちの話。

子供のころ、俺の友人は三人いた。
一人は登校拒否一歩手前のオタクで、もう一人はいわゆるいじめられっ子、最後の一人は図鑑並みに詳しい昆虫マニアという、俺を含めてはみ出し者の集団だった。

時々集まっては各々が好きに遊ぶだけの関係だったが、ほかに友人と呼べる奴もいないから、いつも4人で遊んでいた。

で、小学校を卒業するころに、いじめられっ子は本屋で呪いの本とかを買うようになっていた。
仮にこいつをAとする。
Aに対するいじめは、汚物扱いって言えばいいのか、触ると腐るって奴で、それを同級生の殆どからされていた。移動教室で他の奴の椅子に座ろうとしただけで、教室の殆どがあいつを攻め立てたもんだ。椅子が使えなくなるじゃないかって
そんなわけで、アイツが同年代の人間と関わるのは、俺たちと遊ぶ時くらいだったと思う。

で、そいつが呪いとか調べ始めた頃に、登校拒否一歩手前のオタク、流れでBとするけど、BがAに呪いを依頼したんだ。
どうも、近所で女子に付きまとってこっぴどく振られたらしい。
で、いわゆるラノベに出てくるようなサキュバスって奴を呼び出してあいつに取り付けて操ってくれっていう、頭の悪い依頼。
どう考えてもそんなもん小学生に出来るわけないだろ?
なのに、Aのやつ、やってみるって言うんだよ。

で、昆虫マニアのCに頼んで何とかって虫を手に入れて、真っ白な紙から切り抜いた人形に潰して塗り付けて、ボールペンで変な模様を書き込んだんだ。
で、言うんだよ。
「B、これを枕の下に敷いて3日待って、3日目にお前の望んだサキュバスが出てくるから、それからこの人形を相手の家のポストに入れれば良いよ」
そしたらBの奴は、その人形をひったくるようにして飛び出していった。

で、問題が起きたのが次の日だ。
BがAにつかみかかって、何か言ってた。
何事かと思って話しかけると、以下のようなことだった。
「昨日夢にすげー美女が出た、もう他の女なんてどうでもいい、あいつと付き合いたい!」
俺は、何言ってんだこいつ、って思ったよ。
Aも、最初は嫌がってたんだけど、あまりにBがしつこいからって折れて、Bにいくつか指示をした。

自分のノートを取り出すと、端っこに変な模様、和風のホラゲで見るような、一文字だけのお経みたいなやつを書いてから「人形にこのマークを書いて、逆さにして××の部分にキスをしたら頭を破いてから飲み込んで、残りはたたんで頭の下に入れて寝て」
で、Bがまた走り去ってから、口元を抑えてトイレに駆け込んだ。

Aのただならぬ様子に、一瞬唖然としながらも、Cと一緒にAを介抱した。
そしたら言うんだよ。
「ちょっと契約を変える為に生命力を削られただけ、僕の方はこれで終わりだから大丈夫」
ってさ。

流石にちょっと怖くなって、聞いてみたんだ。
「お前、どんな本読んでるんだよ、あんな変な呪い載ってるとか」
だって気になるだろ?
女の子を言いなりにする呪いが乗ってる本があって、その呪いを途中で変更したって事なんだから。
普通、そんな事できるのか?ってさ。
だから、どんな本を読んでるんだって聞いてみたんだ。

そしたらAがさ、言うんだよ。
「書いてないよ、だから、本に書いてあった仏様に聞いた」
意味が解らなかった。だって、仏様にサキュバスの手名付け方とかどうやって聞くんだって話だろ?
どんな仏様だよ、ってCまで突っ込んでやがった。
そしたら、ダイザイテン?だかそんな名前らしかった。
チ〇コをご本尊にして祈らせてるって聞いて、そんな変態みたいな仏様ホントに居るのかよって思った。

この話を書く為に調べたら、何か仏様の修行を邪魔した魔王ってのがそれっぽ層だったけど、魔王は仏様じゃねーよな?

で、話を戻すけど、その二日後だったと思う。
Bがスゲーニコニコしてんの。
何か、夢で例の美女と毎晩会えるらしい。
で、その日はまだ良かったんだけど、一週間くらい経ったころに急にAに詰め寄っていた。
またかよ、と思いながら声をかけてみると、夢の中で女とヤってるのに何も感じないって話だった。
何でも、最初に出会った時(呪いを変更する前?)はこの世のモノとは思えない快楽だったらしい。

で、Aが言うんだよ。
「サキュバスと感覚ありでなんて付き合ったら一晩でBが干物になるよ」ってさ
Bもしばらくごねてたけど、Aが急に切れた
何でも、Bの為に呪いを変更して、ダメージを受けてまでBが死なないように願いを叶えたのに、これ以上どうしろって言うんだってさ。
で、Bも流石にばつが悪そうにして、その日は解散した。

それっきり、Bを見ることは無かった……なんて事にはならず、次の日も変わらず俺らは集まって遊んでいた。
その後も特に何もなく、俺たちはいつも通りの底辺なりの日常って感じの日常を送っていた。

……って思ってたんだよ。
何年かして、別々の高校に進んで、Aの学校で学祭をやるって言うんで、BとCを誘って行ってみることにしたんだ。
何でも、Aが占い師をするらしかった。
根暗なオカルトマニアだけど、頼まれたら最後はしぶしぶ折れてくれる奴なので、どうせクラスメイトに押し切られたんだろう。
そう思って、久々にBに電話をかけたけど繋がらない。
どうも引っ越したらしくて、電話番号が使われていませんっていうメッセージだけが電話から聞こえてきた。
しょうがないからとCに電話をすると、こっちはすぐにつながった。

で、CからBがどうなったのかを教えてもらった。
電話で「Bの奴、何も言わずに引っ越しちまうなんて友達がいがねえよな」って言ったらさ、
「友達だったからってBのお母さんから聞いたんだけど、Bはしばらく引きこもっていたらしい。で、最初はごはんは食べてたらしいんだけど、暫くすると手を付けなくなったらしい。
 心配になって無理やり部屋に入ったら、カーテンも閉め切ってガリガリに痩せたまま、ノートに女の子を書いては食っていたらしい。流石にヤバいって入院したって、お見舞いに行きたいって言ったんだけど、誰も会わせられないらしい」って

流石に怖くなって、その時思い出したのが、さっきのサキュバスの話だった。
丁度Aに会うんで、聞いてみようってCに言ったんだけど、あいつは嫌がった。
変なところで頑固な奴なんで、俺が一人で聴いてみることにした。

で、学祭当日にAに聞いてみたら、Aは知らなかったらしくてひどく驚いていた。
何でも、Bの奴にも電話して、絶対に来るって言っていたらしい。
嘘だろ、って思ったよ。
でも、そんな嘘を言う奴じゃないし、流石に背筋に冷たいものを感じた。
で、俺がCから聞いた話をしたら、Aの奴、言うんだよ。
「女の子の絵を食べても女の子と仲良くなれるわけないじゃん、僕はそんなお呪い教えて無いし、もちろん意味ないよ。
あと、僕、今は普通に扱ってもらってるし、あの頃みたいな呪いはできないから、そっちで解決してくれって言うのも無し」

どういうことだ?ってなって頭の中?でいっぱいになった。
そんな俺の顔を見てから、カードをぐちゃぐちゃに混ぜながらAが言うんだよ
「僕の家、ツキモノスジって奴らしい。て言ってもとっくに廃れていたのに、僕に対して皆があんな扱いをしたでしょ?
 それが呪いになって僕に溜まって、一時的にツキモノスジに先祖返りしてたみたい」

もう、俺は「は?」しか言えない。

「でも、ツキモノスジの力って難しくてね、自分の望みは叶えられない。誰かにお願いされたのだけ、僕の思うやり方で叶えられるっていう、バカみたいでしょ?」
カードを奇麗に並べながら、Aが続けるんだよ。

「ツキモノスジなのに、僕男だからさ、あの頃は自分がツキモノになってた。だからあんな呪いをすぐに教えてもらえたんだ」
あの時は頼まれたから……って
「でも、今はもう無理。他人の願いを叶えるだけには戻れない。
町中の人からあんな扱いを受けてれば戻るかもしれないけど、このご時世にそんな事できるわけないでしょ?
だから、Bを元に戻す呪いはできないよ」

じゃあBはこのままなのかって聞いたら、ニヤっと笑ってカードをめくった。
「んーと、これをこうすれば行けるかな。三日くらい外に出ると怪我をするけど、これで話せるはずだよ。それで良い?」
いや、元に戻せないって言ったじゃんってt突っ込んじまった。

そしたら言うんだよ。
「いや、そういう呪いはできないだけ、特別に裏技で運命を調整するだけ」
俺は、何と話をしているんだろうって思った。
正直、目の前にいるのがAだとすら思えなかった。
何か、得体のしれない悪魔か何かに、取引を持ち掛けられている気分だった。

……結果だけ書くと、その三日後にBに会った。
正直、怖くて三日間引きこもってたんだけど、近所で事故とかの話も無く、何事もなく三日たって、拍子抜けして近所のコンビニに行ったんだよ。
あいつ、そのコンビニでジャンプ読んでやがった。
お前入院してたんじゃないのかよって思わず叫んじまったよ。
そしたら
「え? 何でお前、俺の見た夢知ってるんだ?」
って
電話が通じなくなって、Cからそう聞いたって言ったら、Bの奴は首を傾げて言うんだ。

「俺、入院なんてしてないぞ?」

俺、もう誰を信じて良いか分からなくなってきた。
その場でCに電話をかけたら、今度はCが言うんだ

『久しぶりー、半年ぶりくらいだね、何の用事?』

お前、Aの学校の学祭に行く前に何度か電話しただろって言ったら、学祭って何?だってさ。
因みにBの家の電話番号は変わってないって話で、試しにその日の晩に電話したら普通に通じた。
訳が分からなくてAにも電話したら、こういわれた。

『ああ、そっか、ようこそこっちへ、前より平和だから楽しんでよ』
今までで一番意味不明な話だった。
流石になんじゃそりゃって聞いたらさ、言うんだよ。
『気にしなくていいよ。僕は楽しい生活ができてるし、Bは入院してない、Cも元気、君も事故に遭わない。ほら、何も問題ないでしょ? もうそういう運命だよ』

最後まで意味が分からないままだったが、ようやく一つだけ理解した。
絶対にAに恨まれるような事をしちゃいけないって。

前の話へ

次の話へ