工事現場

503:名前:雷鳥一号:03/11/15 19:59
友人の話。

彼が道路工事でバイトをしている時のこと。 
そこの現場は、作業車の他は何も通らないような山奥だった。 

ある日の昼下がり、乗用車が一台、現場に侵入してきたのだという。 
「出て行け」という注意も聞こえないようで、車は現場の中で止まった。 
運転席から降りた男は、トランクから大きな麻袋を担ぎ出してきた。 
麻袋からは女性の腕が突き出していた。
その異様な光景に、誰もが近寄るのを躊躇したそうだ。
男は地面に掘られていた穴の中に袋を投げ込み、土をかけて埋めてしまった。 
袋が見えなくなると、男はほっと息をつき、車に乗り込んで帰っていった。 
誰かが「警察を呼べ」と叫んでいた。

白昼の大胆な死体遺棄犯は、目撃者が多いせいもあってすぐに捕まった。 
警察の取り調べで犯人が語ったところによると、
殺した女性を埋めようと山に入ったが、出くわした工事現場に誰もおらず、ちょうどいい穴まであったので、 
これ幸いと埋めてきたということだった。

なぜか犯人には、殺した女性以外の存在は見えていなかった。 
当時、現場には作業員が十人以上いたと聞かされても、信用しなかったという。 
その全員が目撃者だと聞いた時は、唖然としていたそうだ。

前の話へ

次の話へ