通夜

27 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2020/11/13(金) 04:02:16.57 ID:dKGPiIzr0
寝付けないから最近あった話
近所の家が売りに出されることになり、夕食の時その話が家族の話題にあがった
小梨夫婦が住んでいたが俺が小学生の頃奥さんが病気で亡くなった
その後旦那さんが1人で住んでたが10年前くらいに亡くなり空き家になってた家だ。
俺も小学生の時一度だけ入ったことがある
通夜で(たぶん奥さんの)昔だったから、今では見ることも珍しいが黒と白の不幸があった時に使う垂れ幕が入り口の壁につけられていた
少しぱらぱらと雨が降っていたと思う。傘を刺すほどでもないが、持ってきたのか傘を畳んでる人を玄関で見た気がする
玄関は開放されていて、門灯の薄明かりと室内から漏れる光で祭りの時みたいな穏やかな光だった。
家の中も喪の幕が張られてて、何人か自由に出入りしていた
小学生だから他人の家が珍しくてキョロキョロしてたんで印象に残ってる
玄関にいたるまでの庭の石畳、突き当たり正面の木材、少し段差がある廊下を乗り越え、畳の部屋で行われた通夜
愛妻家の旦那さんが孤独になってしまったことを子供心にかわいそうだなと悲しくなった

懐かしく思ってその話を両親にしたら、二人の箸が止まった
通夜は少し離れた所にある式場での開催で、俺の家からは父親だけが参加したんだと
親しくもない近所の通夜に小学生を連れてくこともするわけがないって
俺の記憶に鮮明に残るこの通夜は何の通夜だったんだろうな

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