ドライブ

932 名前:1/2[sage] 投稿日:03/02/25(火) 19:08
名古屋の友人に聞いた話。

カップル2組で、諏訪湖までドライブに行った時のこと。
帰りがすっかり遅くなったので、女の子は2人とも後部座席で寝ていた。
友人は助手席でテレビを見ていたが、急に車がふらついたような気がして顔を上げた

見ると、いつのまにか、スピードも落ちている。高速道路では、かえって危険だ。
ドライバーの方を見たが、居眠りはしていない。只、様子がおかしかった。
落ち着かない様子で、バックミラーをチラチラと見ている。
「おい、スピード落ちてるぞ。」友人は注意を促すようにそう言った。
が、ドライバーは友人を横目で見ると、バックミラーを小刻みに指差した。

不審に思った友人がミラーを覗くと、後部座席で寝ている女の子2人の間、
後部座席の真ん中に、白い腕が一本見えた。
大きさからすると子供のような腕。それが、背もたれの上から垂れ下がるように伸びている。
車はステーションワゴンなので、後部座席の後ろは荷室になっている。
要するに、シートの後ろに子供が隠れて腕だけを出しているような状況だが、
当然、そんな所に子供を乗せた覚えはなかった。
腕は、時折、プラン、プラン、と力なく揺れ、その様子は、色の白さと共に死人を連想させる。

友人の視界で何かが動いた。とっさに、目でそれを探る。
シートのすぐ後ろ、丁度、子供が隠れていそうなあたりに、蠢く黒い塊の一部が見えた。
姿形は濃い闇に紛れて判別出来ない。
しかし、友人には、それが子供などではないことが、何となくわかった。
背筋を冷たいものが走った。

すると今度は、後ろから、女の子の寝息に混じって、妙な音が聞こえてきた。
カリ・・・パキッ・・クチュ・・・・
静まりかえった車内に、そんな音が微かに響く。
白い腕が、その音に合わせるかのように揺れていた。
グチュ・・・ガリ・・・パキッ

「うわああああ!」
そんな雰囲気に耐えかねたかのように、突然ドライバーが叫び声を上げ、
車を路側帯に寄せると、急停止した。

減速の勢いで女の子が目を覚ます。後部座席に、白い腕はもうなかった。
友人とドライバーは車を降りると、後部へ回りハッチを開ける。
荷室には誰もいなかった。白い腕も黒い塊もない。
しばらく荷物を動かしたりして探したが、それらしいモノは見つからなかった。

ただ、後部座席の後ろ、さっき音がしていた辺りに、黒い染みが数個あった。

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