再発の危険あり

869 :本当にあった怖い名無し:2007/09/17(月) 23:40:15 ID:PjbOWSsL0
たぶんここでいいよね?

一ヶ月ほど前、医者から母親のガンが再発の危険ありということを教えられた。
「精密検査しなければわかりませんが、ほぼ間違いないでしょう。その時は覚悟しておいてください」
そのことを聞かされてもカーチャンはいつも通り働いていた。俺も少しでも負担を軽くしてやろうと一生懸命手伝った。
経済的には親がいなくても十分食っていけるくらいの余裕はあった。でも親には出来るだけ長く生きていてほしい。当然だと思う。
「母ちゃんは十分生きたと思う。でもお前らの嫁や孫の顔が見られないのは心残りだ」カーチャンはそう言って笑っていた。
診断の日から俺は、毎晩寝る前に天国にいるじいちゃんに祈った。本来なら墓のある田舎に行くのが然るべきだが、残念ながら田舎は東北にある…
だから、俺は東北の夜空に向かい、ベタだが、人は死んだ後星になるという言い伝えに従って、
「じいちゃん、どうかおふくろを助けてあげてください」そう祈った。
検査日の前夜、夢の中でじいちゃんが神妙な顔つきで何やら言っていたが思い出せない。
はっと目が覚めて部屋を見回すと、じいちゃんから高校受験のお守りに貰った達磨に亀裂が入っていた。胸騒ぎがした。
数日後、検査結果が届いた。
『腫瘍は良性』
ほっと胸をなで下ろしたお袋に、俺は照れながら毎晩じいちゃんに祈っていた事を教えた。
するとおふくろは「虎蔵じいちゃんは子煩悩だったからねえ…」と笑った。
その晩、俺は「じいちゃん。かあちゃん助かったよ。本当にありがとう」とお礼を言った。
その時、「よかったなあ」というじいちゃんの声が確かに聞こえた。

できすぎているようだけど実話です。

前の話へ

次の話へ