Tさんの車
712 :Tさんの車 1:2007/09/09(日) 17:02:58 ID:YiDvbNEm0
今から12~13年程前によく行っていた居酒屋のママが霊感の強い人で、よく恐い話をしてくれた。
そのうちの一つを書いてみようと思う。長文になるけど、よかったら読んでみて。
当時の常連客にTさんという人がいた。
ある時Tさんが中古車を買った。ずっと憧れていたというセドリックだった。
私が住んでいる地方は高校出たての若造がソアラやクラウンに乗っているのも珍しくなかったので、
セドリックも高級車というイメージはなかったし、運転席側のドアの内張りにジュースをこぼしたようなシミがあったけど、
それでもTさんは本当に嬉しそうだった。
でも、ママはその車に良い印象を持てなかった。むしろヤバいと感じていた。
というのも、店が終わってからTさんに送ってもらうことが2~3度あったそうなんだけど、誰もいない後部座席から
小さく「ふふふっ」と笑い声が聞こえたり、耳の後ろに息を吹き掛けられたりしたらしい。
何度もこの車は良くないよと言おうとしたんだけど、嬉しそうに車の話をするTさんを見るとどうしても言えなかったそうだ。
ある時、Tさんが車の調子が悪いと言いだした。
Tさんの家は長く急な坂をのぼったすぐ先にある。
深夜、帰宅途中にその坂の途中で止まってしまったというのだ。
エンストというレベルではなく、電気系も全て止まってしまった(キーをオフにした状態になった)という。
家の近くだということもあってそのまま車を置いて帰り、朝になってから車屋を呼んだ。
ところが何の問題もなくエンジンがかかる。車屋が調べても異常は見つからないという。
おかしいなと思いながらも異常がないならとそのまま乗っていると、忘れたころにまた同じ症状で止まってしまった。
朝になるとちゃんとエンジンがかかるというところまで同じ。
それを何度か繰り返すうちに、さすがに何かあると思ったTさんが車を買った店に「何か有るんじゃないか」と問い合わせたところ、
オークションで遠方の店から購入した車なのですぐには解らないが、とにかく調べてみるとの事だった。
憧れの車だったとはいえ、すでに手放すつもりになっていたTさんは手放す前に記念に車の写真を取ることにした。
車の横にTさんが立つという構図で写真をとってもらい、現像に出した。
そのころちょうど車屋から連絡が来た。やはりいわく付きの車だった。
その内容はこうだった。
その車は関西から流れてきた車で、やはり前のオーナーは死んでいた。
ただし、前のオーナーはヤクザで、事故ではなく、
信号待ちをしている時に敵対している組の組員に銃で射たれて亡くなっていた。
ジュースをこぼしたと思っていたシミはその時の血痕だったのだ。
そしてTさんは現像した記念写真を見てさらにショックを受けることになる。
車の横に立つ笑顔のTさん。その横にTさんを睨み付けるように立つパンチパーマの男がいたのだ。
もちろんTさんはすぐにこの車を手放したそうだ。